熊切和嘉監督×綾野剛主演『武曲 MUKOKU』が第39回モスクワ国際映画祭に正式出品されることが決定し、併せて“緊迫の乱闘シーンの稽古風景と本番を捉えた”メイキング映像が解禁された。

破滅か、救いか―。闘うことでしか生きられない男たちの激しく燃えさかる魂の対決を描いた本作。幼い頃から剣道の達人だった父に鍛えられた矢田部研吾は一目置かれる存在だったが、ある事件から生きる気力を失いどん底の日々を送る。そんな時、もう一人の師匠が立ち直らせるために一人の少年・羽田融を送り込むが、彼は恐るべき剣の才能の持ち主だった。『私の男』の熊切和嘉監督最新作。主人公・矢田部研吾を綾野剛、羽田融を村上虹郎が演じる。

今回解禁されたメイキング映像は、緊迫の乱闘シーンの稽古風景と本番の撮影の様子を捉えている。剣道五段の腕前を持ちながらどん底の生活を送る主人公・研吾(綾野)が、恐るべき剣の才能を持つ高校生・融(村上虹郎)と初めて剣を交えた直後のシーン。油断から融に完璧なまでに一本を取られてしまった研吾は怒りから融に掴みかかり、周りの剣道部員達を巻き込んで大乱闘が起こる。

研吾が感情に任せて大暴れして高校生達を次々と倒していくというアクションは、動きをひとつ誤れば大きなケガにつながる危険もあるため、“研吾が大暴れする場面”という形を事前に入念に組み立ててから撮影が行われている。この映像では、綾野が、組み合うことになる部員役の俳優ひとりひとりをリードしながら動きを丁寧に確認していく様子を捉えている。目の前で見守る熊切監督もその姿にうなずき、綾野を信頼して任せている様子がうかがえる。続いて収められた本番では、直前の映像で捉えられた通りの動きで完璧な“大乱闘”が生み出され、熊切監督もカットの後に思わず「いいね今の!」と満足気な感想をもらし、綾野は部員役の俳優に自ら歩み寄ってハグをし、労いの声をかけていく。綾野は、初日舞台挨拶で本作の撮影に臨む心構えとして、“チーム武曲”の一員という意識を持っていたことを明かしているが、まさにそれを感じられる映像となっている。

また、本作『武曲 MUKOKU』が6月22日から開催される第39回モスクワ国際映画祭にて特別招待作品として上映されることが決定した。モスクワ国際映画祭といえば、2014年(第36回)に『私の男』が最優秀作品賞と最優秀男優賞をダブル受賞した熊切監督にとってはゆかりの深い映画祭。そんなモスクワでインターナショナルプレミアを果たすことになった“現代の侍”の物語を世界の観客がどう観るのか、作品への評価も気になるところだ。

映画『武曲 MUKOKU』は全国で公開中!
監督:熊切和嘉
原作:藤沢周「武曲」(文春文庫刊)
出演:綾野剛、村上虹郎、前田敦子、風吹ジュン、小林薫、柄本明
配給:キノフィルムズ
©2017「武曲 MUKOKU」製作委員会