イタリア映画界の名匠パオロ・ヴィルズィ監督が、『人間の値打ち』に続いてヴァレリア・ブルー二・テデスキとタッグを組んだ本作。トスカーナにある精神を病んだ人々が集う診療施設から抜け出した正反対の二人が、一緒に旅を続ける中で、いつしかかけがえのない絆で結ばれていく。イタリア版アカデミー賞とも呼ばれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最多17部門ノミネート、5部門(作品賞、監督賞、主演女優賞、ヘアスタイリスト賞、美術賞)受賞の栄誉に輝いた。また、第69回カンヌ国際映画祭監督週間の正式出品作品に選出など世界中で話題を呼んでいる。
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ演じる存在感抜群の“自称・伯爵夫人”ベアトリーチェの相棒ドナテッラ役を務めたのは、パオロ・ヴィルズィ監督の妻で、今やイタリア映画界で引っ張りだこの若きトップ女優ミカエラ・ラマッツォッティ。ヴィルズィ監督作『見わたすかぎり人生』(2008)への出演を機に結ばれたミカエラ。本作では痩せ細った体にぼさぼさの髪、全身に23ものタトゥーを刻み、さらにうつ病と過去のトラウマを抱えながらも懸命に生きる希望を見出していく女性を演じる。
ミカエラは役について「ドナテッラの頭の中にはいつでも小さいハエの群れがブンブン飛んでいるかのように常に何かに怯えている状態」と表現し「それに耐えるのが簡単ではなく、私の気分を大きく左右し、セットでは笑うことができませんでした。一方で特に理由もなく突然泣き出すこともありました。撮影中にヴァレリアとよく泣いたものです」と振り返る。
主演ふたりのキャスティングは、実は前作『人間の値打ち』の撮影中、ミカエラがセットを訪ねてきたことがきっかけとなっていた。ヴィルズィ監督は当時を振り返り「休憩前の最後のテイク中、ふと見渡すと、ヴァレリアがミカエラをケータリングのテントに連れて行くところが目に入ったのです。ヴァレリアは小走りしていて、ミカエラは信頼と困惑が混ざったような様子で、後ろをよたよたと歩いていきました。地面がでこぼこで、雪が残っていたので、ヴァレリアはミカエラを支えるために腕を伸ばしました。その瞬間、私はこの魅惑的で美しく、コミカルで少しクレイジーな女性たちにカメラを向けたいという衝動に駆られたのです」とインスピレーションの源を語っている。
ミステリーから極上の人生賛歌まで自在に描出するヴィルズィ監督の確かな采配、そしてベテラン女優ヴァレリアに並び、大幅に減量し難しい役どころに挑んだミカエラの繊細かつ体当たりの演技に注目だ。
映画『歓びのトスカーナ』は2017年7月8日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国で順次公開!
監督:パオロ・ヴィルズィ
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ミカエラ・ラマッツォッティ 、ヴァレンティーナ・カルネルッティ、トンマーゾ・ラーニョ、ボブ・メシーニ、セルジョ・アルベッリ
配給:ミッドシップ
COPYRIGHT(C)LOTUS 2015