日本でいち早くフランス映画の新作を観ることが出来る機会となるフランス映画祭。第25回目の今年は、フランスの国民的女優カトリーヌ・ドヌーヴが「フランス映画祭2017 団長」に就任し、主演作『ルージュの手紙』を引っ提げて来日。さらに昨年本映画祭の団長を務めたイザベル・ユペールがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた主演作『エル ELLE』で来日するほか、バラエティ豊かなフランス映画が連日上映される。
今回が5回目の来日となるポール・ヴァーホーヴェン監督。すべて映画のプロモーションでの来日というヴァーホーヴェン監督だが、今回は「特別な作品を持っての来日」と、イザベル・ユペールへの感謝の気持ちを込めて笑顔で挨拶した。ユペールは「ポールと一緒に来れて嬉しい」と笑顔を見せ、会場を埋め尽くした観客に対して「たくさんの方がいらっしゃってくれて嬉しい」と挨拶した。
昨年に引き続きの来日となったユペールだが、観客からの“来てくれてありがとう”という声に「ありがとう」と日本語で答えるなど、観客と密に接することができる本映画祭ならではのアットホームな雰囲気を醸し出していた。
作品について、観たばかりの観客からはいくつもの質問が寄せられたが、本作を演じるうえで二人で話し合ったかという質問に、ヴァーホーヴェン監督は「一切そういう会話はありませんでした。事故が起こりうるシーンについては事前に話し合いはしましたが、彼女(ユペールが演じるミシェル)の動機などは一切話し合っていません。それはすべきではないと考えていたからです」と明かし「僕はイザベルさんを信頼して、(ユペールは)やるべきことを分かっていた。コミュニケーションとしては、うなずくだけでよかった」と難しい役どころも二人の信頼関係で成り立っていたことを明かした。
劇中では暴力的なシーンもあり「撮影で大変だったシーンは?」という質問もあったが、ユペールは「大変なシーンはありませんでした。でも、見るのに大変なシーンはあると思います。一番大変だったのは小さな鳥が死ぬシーン。映画のテーマは命だと思うので」と語った。
『エル ELLE』は、『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン監督が、フランスの至宝イザベル・ユペールを主演に迎えて放つ異色のサスペンス。世界を驚愕させたヒロインを演じるのは、歳を重ねる度に魅力を増すイザベル・ユペール。錚々たる巨匠たちと仕事を重ねてきたイザベル・ユペールの長い女優キャリアの中でも「最高峰の素晴らしい演技」と評価されている。監督は『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン。刺激的でアブノーマルな才能が互いを高め合い、世界初の気品あふれる変態ムービーにして異色のサスペンスが誕生した。
【取材・写真・文/編集部】
「フランス映画祭2017」は2017年6月22日(木)~25日(日)に有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇にて開催!