これまでの戦争映画を超えた本作で描かれるのは、相手を打ち負かす“戦い”ではなく、生き残りをかけた“撤退”の物語。容赦なく敵勢が迫るなか、浜辺に追いつめられた若き兵士を案内人に陸海空の3視点で描かれるストーリーが同時に進行する。時間描写において他と一線を画すノーラン監督ならではの緊迫のサスペンスが、IMAXカメラによる迫力の映像で映し出される。1940年5月、フランス北端の町・ダンケルクに追いつめられた英仏40万の若き兵士たち。ドイツ敵軍の攻撃が迫る中、ドーバー海峡に浮かぶすべての船を総動員した史上最大の救出作戦が決行される。
今回、本作『ダンケルク』の劇場用ポスタービジュアルが解禁された。本作で描かれるのは、相手を打ち負かす「戦い」ではなく、生き残りをかけた「撤退」の物語。陸海空の3視点で同時進行するストーリーを、時間描写において他の追随を許さないノーラン監督ならではの緊迫のタイム・サスペンスとして、IMAX65ミリ・カメラとラージ・フォーマット65ミリ・カメラによる圧倒的な臨場感で描かれる。観客は1人の兵士となり、これまでの戦争映画を超えた、まるで1940年のダンケルクの浜辺にいるかのような全く新たな“究極の映画体験”をすることになるだろう。
今回解禁されたポスタービジュアルは、砂浜に這いつくばる若き兵士の横顔をアップでとらえたインパクトが高いビジュアルとなっている。ドイツ敵軍の総攻撃まであとわずか―。彼の視点の先にはドーバー海峡、さらに故郷イギリスがある。地上では空爆によって火花が散り、砂塵が舞う砂浜には兵士たちがうずくまり、海上では敵軍によって爆破された船から煙が立ち上がる。絶体絶命の地ダンケルクで、時間との戦いを描く緊迫感溢れるビジュアルだ。本ポスターは、7月1日(土)のムビチケカード発売と併せて、全国の上映劇場(※一部を除く)で一斉に掲出される。
徹底した秘密主義で知られるノーラン監督だが、『ダンケルク』に影響を与えた11本の傑作映画をセレクトしコメントを寄せ話題となった。「私は『ダンケルク』を生き残り(撤退)の物語としてアプローチすることを選択しました。芝居がかった大仰な演出による映像で現実世界の戦闘を見せることの危険性がすぐにわかるはずです」と語っており、ノーランの並々ならぬ映画愛と究極の映画体験となる本作『ダンケルク』への揺るぎない自信が伝わってくる。キーワードは“緊迫感”と“映像表現”。デジタル化が進む映画業界だが、ノーランはフィルム上映にこだわり続けおり、今回セレクトされた11本の傑作映画は、現在でもフィルム上映を続けるロンドンのBFIサウスバンクで、35ミリまたは70ミリでフィルム上映される(7月1日から31日まで)。
『ダンケルク』に寄せて
皆さんは戦争映画のセレクションを期待するかもしれません。しかし、私は『ダンケルク』を生き残り(撤退)の物語としてアプローチすることを選択しました。ジェームズ・ジョーンズのエッセー「Phony War Films」(イブニング・ポスト、1963年3月30日付)を読めば、芝居がかった大仰な演出による映像で現実世界の戦闘を見せることの危険性がすぐにわかるはずです。ジョーンズ曰く、「戦争が人間性を失わせる」と最初にして最高の手法で描いたのは『西部戦線異状なし』(1930年、ルイス・マイルストン監督)です。あの傑作をもう一度観れば、過剰な戦闘描写や恐怖の表現がより優れていたとは言えなくなるはずです。私にとって、あの作品は、登場人物たちがそれぞれの運命における意義と論理を見つけ出すという、これまでの戦争映画の常套表現に抵抗する力を示してくれるのです。
今回のセレクションは、2つの異なる、しかし重複するカテゴリーに分類できます。『恐怖の報酬』(1953年、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督)や『エイリアン』(1979年、リドリー・スコット監督)など、緊張感のある確立された古典的な作品から、より最近のハラハラドキドキする『スピード』(1994年、ヤン・デ・ボン監督)や、トニー・スコット最後の監督作品となった『アンストッパブル』(2010年)まで。この映画祭は観客の反応を物語へ導くサスペンスの技巧と手法を探求します。
その他のタイトルは、純粋に視覚的なストーリーテリングの可能性を探求するものです。エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督の『グリード』(1924年)やF・W・ムルナウ監督の『サンライズ』(1927年)などの美しいサイレント映画では文字通り”視覚的な”可能性を、そして『ライアンの娘』(1970年、デヴィッド・リーン監督)では、ぞっとするような吹きさらしの浜辺や砕ける波の場面が象徴する、映画に登場する映像の力がそれにあたります。
『アルジェの戦い』(1966年、ジッロ・ポンテコルヴォ監督)はキャラクターに感情移入せずにはいられない、時代を超越して影響を与えるドキュメンタリー・タッチの作品です。映画を観ていると登場人物たちが直面する現実や勝算に夢中になるという単純な理由から、彼らに共感してしまうのです。ヒュー・ハドソンの『炎のランナー』(1981年)は、華麗な映像、複雑な物語、そして敢えて時代に逆行した音楽で英国の傑作となりました。
映画的なサスペンスや視覚的なストーリーテリングの探求はヒッチコックなくして完成しません。『海外特派員』(1940年)での飛行機が海に墜落する様を描いたヒッチコックの才能は、我々が『ダンケルク』で試みたことの多くにインスピレーションを与えてくれました。これら全ての映画は、35ミリもしくは70ミリのフィルムで上映されます。素晴らしい映画を栄誉あるアナログの姿で鑑賞することができる貴重な機会を、皆さんに楽しんでもらえるよう願っています。
クリストファー・ノーラン
ノーラン・セレクションから浮かびあがる映画体験とは?
人間性を問う、「戦争が人間性を奪う」という普遍的なメッセージと映画表現
『西部戦線異状なし』(1930、ルイス・マイルストン監督、アメリカ)
タイムリミット・サスペンス&圧倒的な緊迫感
『恐怖の報酬』(1953、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督、フランス・イタリア合作)
『エイリアン』(1979、リドリー・スコット監督、アメリカ)
『スピード』(1994、ヤン・デ・ボン監督、アメリカ)
『アンストッパブル』(2010、トニー・スコット監督、アメリカ)
映像で物語を伝える映画表現(映像言語術)
『グリード』(1924、エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督、アメリカ)※サイレント映画
『サンライズ』(1927、F.W.ムルナウ監督、ドイツ)※サイレント映画
→2作品共に映像だけで物語を綴るサイレント映画ならではの映像表現
『ライアンの娘』(1970、デヴィッド・リーン監督、イギリス)
→寒々しい浜辺、打ち砕ける波など、まるで生きているかのような海の描写、絵の力でストーリー、心象を表現
『アルジェの戦い』(1966、ジッロ・ポンテコルヴォ監督、イタリア・アルジェリア合作)
→主人公に共感せずにはいられないドキュメンタリー・タッチのドラマ
『炎のランナー』(1981、ヒュー・ハドソン監督、イギリス)
→映画の語り口に変革をもたらした傑作
『海外特派員』(1940、アルフレッド・ヒッチコック監督、アメリカ)
→飛行機が海に墜落するシーンに注目。『ダンケルク」で参考にした。
クリストファー・ノーラン コメント原文は Christopher Nolan curates BFI Southbank season of influences on new film Dunkirkにて
映画『ダンケルク』は2017年9月9日(土)より全国で公開!
監督:クリストファー・ノーラン
出演:トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、ケネス・ブラナー、マーク・ライランス、ハリー・スタイルズ、フィオン・ホワイトヘッド
配給:ワーナー・ブラザース映画
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