清野菜名、木村多江、松坂桃李、吉高由里子、松山ケンイチ、佐津川愛美、熊澤尚人監督

『ユリゴコロ』のキックオフ会見が7月9日(日)に都内で行われ、吉高由里子、松山ケンイチ、松坂桃李、佐津川愛美、清野菜名、木村多江、熊澤尚人監督が登壇した。

今回本作の完成に先立ち、主演の吉高由里子のほか、松山ケンイチ、松坂桃李、佐津川愛美、清野菜名、木村多江、熊澤尚人監督ら豪華キャストと監督が集結して、本作の撮影を振り返る会見が行われた。過去と現代、二つの物語が同時進行する本作は、過去編と現代編を別々の期間に撮影するという独特の撮影方法が取られた。過去編は去年の10月に、現代編は前日の7月8日に撮影が終了したばかり。その後ポストプロダクションを経て、8月下旬の完成を予定している。

現代編に出演する松坂が「昨日終わりました」とホッとした様子で笑顔を見せると、松坂演じる亮介の恋人・千絵役である清野は「完成するのがすごく楽しみです」と同じく終わったばかりの撮影にホッとした様子を見せた。先に撮影を終えていた過去編に出演する松山は「ずいぶん時間が経っているので、久しぶりに(役名である)“洋介”と呼ばれてドキッとしてる。有意義な撮影だったことを思い出した」と振り返った。また、熊澤監督は「昨日の夜8時にクランクアップした。やっと撮影が終わりましたので、これから完成に向けて頑張りたい」と2か月後の公開に向けて改めて気を引き締めている様子を窺わせた。

主演の吉高は殺人を犯す美紗子役を演じるが「(殺人を犯す役を)今までにやったことがなかったので、ぜひやってみたいと思って挑んだ」と明かした。実際の撮影では、過去編は先に撮影をしたが「今こうやって(ほかのキャストと)並んでいるけど、全く親近感が湧かない。違う現場の方なのかなというくらい」と明かし、場内からは大きな笑いが起きた。また、美紗子と運命的な出会いをする洋介を演じる松山は「観たことがないジャンル。新しい発見や、感覚が得られるじゃないかという印象だった」と振り返り「(過去編は)最初に撮ってるから楽です。好き勝手にやっていた」と振り返った。

対して、現代編に出演する松坂は「(先に撮影された過去編の映像は)見ませんでした。なるべく映像は観ずに、想像をしながら撮影したいと思った」と明かした。また、清野は「原作を読んでいたのでオファーが来たことに驚きもありました」と明かし「亮介を演じる(松坂)桃李さんの演技の熱量を浴びた」と振り返った。また、過去編と現代編を別々に撮影することについては「自分と向き合って演技をするので、自分との闘いでした」とコメントした。

吉高と10年以上前に出会ったという松山だが、その時の印象を「ポジティブな意味で、クセの強そうな女の子だと思った」と明かし「共演はあったけど、僕が刺殺す役だったり、出番が違うシーンばかりで、今回はちゃんとできて嬉しかった」と笑顔を見せた。また「変わったシーンが多かった」と話す松山だが「ミステリーだけど、ギャグのようなシーンもあって面白い撮影でした」と振り返った。さらに吉高は、共演した佐津川について「目の表情がすごい。とても楽しかったし、パワーをもらいました」と称賛し、佐津川も「食事を買いに行く時間がないときに、サラダとゆで卵を買ってきてくれ『一緒に食べよう』って言ってくれた。もう好き!って思った」と吉高への愛を明かし、場内からは笑いが起きた。

また、撮影は常にハードで「夜が明けるぞということもあった」と振り返る松坂。撮影中にはオムレツを作ったことが印象的だと話す清野と松坂だが、松坂は「うまくなりたいと思って、ご飯のタイミングに作ったけどほとんどだれも食べてくれなかった・・・」と残念そうに語り、清野は「添えてあるトマトだけ食べました(笑)」と冗談を交えて返した。

今回、完全に2つに分かれた現場だったが、吉高は「自分がかかわっていない期間とシーンがあって、一つの映画を作ること」に期待していと明かし「どう交わって物語ができるのか、期待もありますし、早く見たい」と笑顔を見せた。しかし、2か月後の公開については「大丈夫?何か手伝う?となってます(笑)そこは熊澤監督がピシッと決めてくれると思います」と熊澤監督に合図を送った。また、松山は「ラブストーリーなので、温かさと冷たさがうまく融合した作品になるんじゃないか」と期待を感じさせた。松坂も「監督が絶妙な仕掛けをやってる。一つの仕上がりになるのが、想像つかないけど楽しみです」と語った。

最後に、主演の吉高は「(過去編の)熟成したストーリーと(現代編の)ほやほやのストーリーがどう化学反応をして、一つの作品になるのかに期待をして、劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです」と本作をアピールした。

ある家族、余命わずかな父の書斎で見つかった一冊の日記。そこに綴られていたのは、ある殺人者の手記。これは事実か、創作か。いったい誰が、何の為に書いたのか。ショッキングなミステリーを入り口に置きながら、物語は一転、壮絶な愛の物語へ辿り着く。美紗子は悲しみの連鎖の果てに何を願うのか?2012年に大藪春彦賞受賞や本屋大賞ノミネートをはたした沼田まほかる原作を、『君に届け』(2010)『近キョリ恋愛』(2014)などを手がけた熊澤尚人監督が映画化。主演は、5年ぶりの主演作となる吉高由里子。人間誰もが持っている“心の拠り所”、それが生まれながらに“人間の死”であった女・美紗子を演じる。

【取材・撮影/蔭山勝也】

吉高由里子

松山ケンイチ

松坂桃李

佐津川愛美

清野菜名

木村多江


映画『ユリゴコロ』は2017年9月23日(土)より全国で公開!
脚本・監督:熊澤尚人
原作:沼田まほかる「ユリゴコロ」(双葉文庫)
出演:吉高由里子、松坂桃李/松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶/木村多江
配給:東映/日活
©沼田まほかる/双葉社 ©2017「ユリゴコロ」製作委員会