『ブランカとギター弾き』のキャスト来日記念イベントが7月13日(木)に渋谷・ユーロライブにて行われ、主演のサイデル・ガブテロと長谷井宏紀監督が登壇した。

本作で演技初挑戦ながらもその歌声と演技力で、観る者を惹きつけた主演のサイデル・ガブテロと、日本人として初めてヴェネツィア国際映画祭の出資を得て本作を制作した長谷井宏紀監督が登壇した今回のイベント。現在、フィリピンを拠点として女優、歌手として活躍しているサイデルが歌声を披露するなど、その魅力を日本の観客にお披露目するイベントとなった。

多くの照明で照らされたステージに登壇した長谷井監督は「暑いですね・・・。フィリピンを感じていただければ」と本作の舞台となる一年の大半が暑いというフィリピンになぞらえて笑いを誘った。本作は、日本公開前に世界各国の映画祭でグランプリを受賞するなど話題を呼んでおり、スイスの映画祭では「70歳くらいの女性から『希望が持てたよ』と言ってくれた」と笑顔を見せる長谷井監督。またアジアの映画祭では「私にはあなたにあげられるものがこれくらいしかない」と飲みかけのコーヒーを渡されたというエピソードも披露した。

本作は、主演のサイデル以外にもキャスティングが高い評価を得ているが、特に主人公ブランカ役については「路上を2か月くらい朝から晩まで(歩いた)」と地道な努力があったことを明かした。そんな中で選ばれたサイデルは、YouTubeの動画を長谷井監督が見たことから実現。今回初来日となったサイデルは、長谷井監督と久しぶりにあえて「とてもうれしい。ホテルに行ったら、監督が踊って迎えてくれました」と明かし、場内からは笑いが起きた。また、日本ではディズニーランドに行きたい、ラーメンを食べたいとかわいらしさを出しつつも、映画について「ありがたいと思うと同時に嬉しかった。美しい映画で、温かい気持ちになり、とても感動しました」と大絶賛した。

また、サイデルは撮影現場では「20日間の撮影でいろいろな経験をしました。一生忘れられない思い出になっています」と長谷井監督に感謝の気持ちを語るとともに、現場での長谷井監督については「冗談を言ったり、踊ったり、笑いが絶えない現場でした」と明かした。

さらにイベントではフィリピンで歌手としても活躍するサイデルが3曲を披露。サイデルのパワフルな歌声と豊かな表情によるパフォーマンスに観客は酔いしれていた様子。特に「Carinosa」は、フィリピンの民族音楽で劇中で盲目のギター弾きピーターが主人公ブランカに教える楽曲。今回映画で使われたこの曲は長谷井監督自身が歌詞を書き、それを翻訳したもので歌われている。歌い終えたサイデルを見た長谷井監督は「聞いたらしんみりしちゃった」と零した。

最後に長谷井監督は「映画を観て、渋谷の街を歩きながらいい夜を過ごしていただけたらいいなという映画です」とアピールし、サイデルは「家に帰る時に目に涙が浮かんでいるといいなと思います」とメッセージを送った。

“お母さんをお金で買う”ことを思いついた孤児の少女ブランカは、ある日、盲目のギター弾きピーターと出会う。歌でお金を稼ぐ孤児の少女ブランカと、盲目のギター弾きの“幸せを探す旅”―。どんな人生にも勇気を持って、立ち向かう価値があることを教えてくれる、心温まる感動作に仕上がった。日本人初のヴェネツィア・ビエンナーレ&ヴェネツィア国際映画祭の出資を得て製作された長谷井宏紀の第一回監督作品がついに日本凱旋。演技初挑戦となるブランカ役のサイデル・ガブデロの美しい歌声と演技力は観る者を強く惹きつける。

【取材・写真・文/編集部】

サイデル・ガブテロ

長谷井宏紀監督

サイデル・ガブテロ

長谷井宏紀監督


映画『ブランカとギター弾き』は2017年7月29日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国で順次公開!
監督・脚本:長谷井宏紀
出演:サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド・カマチョ
配給:トランスフォーマー
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