長谷井宏紀監督、加瀬亮

『ブランカとギター弾き』のトークイベントが8月9日(水)にシネスイッチ銀座で行われ、長谷井宏紀監督と俳優の加瀬亮が登壇した。

今回のイベントには、長谷井宏紀監督と20年来の友人である俳優の加瀬亮が登壇。長谷井監督と映画や友情について、熱いトークが繰り広げられた。

「宏紀くんとはほぼ20年くらい付き合いがあるんですけど、初めて商業映画で初監督ということで駆けつけました」と挨拶した加瀬は長谷井監督との出会いについて「昔、宏紀くんが大きな一軒家に住んでいて、その家にミュージシャンやデザイナー、写真家、絵描きいろいろな人が集まって暮らしていて面白いって聞いたので遊びに行ったんですが、家の扉が年中開けっ放しなんですね。誰にも出入りできるような場所を作っている宏紀くんに会って、朝から夜までずっといろいろなことを話していました」と振り返った。さらに「前に(長谷井監督の)短編映画を4本くらい観ていて、一番最初に監督が作った作品にはスタッフで参加しました」と明かした。

本作について加瀬は「はっきりとしたストーリーがあったから、宏紀くんが何を信じたいのかがはっきり見えてきた。今までの短編も好きだったけど、なかなか分かりにくい構造の作品ではあったから、今回はどうやって物語を作っていったんだろうと思った」と話し、以前の短編との違いについて長谷井監督は「今までは物語を書くということがあまり分かっていなかったから、ヴェネツィア・ビエンナーレ主催のシネマカレッジに応募したことや、映画作りの仲間たちに出会ったことが大きかった。それより以前に、エミール・クストリッツァ監督に出会って、そこから脚本を書くことを知った。シネマカレッジが僕を気に留めてくれて、そこで映画作りのノウハウを学んだんだ」と製作に至るエピソードを語った。

また、最初に撮った短編について加瀬は「すごく衝撃的だった。その次の短編には今作にも出ているピーターが出演しているね。だから『ブランカとギター弾き』は僕にとって繋がっている」と語った。本作の撮影では「クライマックスのブランカが泣いて笑うという演技はやっぱり11歳の女の子には難しいことだった」と難しさを明かした長谷井監督に、加瀬も自身の経験を振り返り「映画って一人ではできないし、演技経験があっても、実は演技が初めての女の子と一緒だと思う。泣くってシーンがあっても、周囲や自分がそういう雰囲気ではなかったら、やっぱり俳優も泣けないんだよね。経験があるからとか、技術があるからとかは違うんだ。人間が普段、涙を流す時って、“泣くもんか”や“泣きたくない”っていう気持ちがあるはずなんだよね。だから、心のこもらない涙は、他人の心を動かすことが出来ないと思う」と語った。

長谷井監督は、今後について「沖縄でも撮影してみたい」と話し、加瀬も「僕も沖縄行ったことあるけど、この作品に出てくる子供たちくらいに、沖縄の子供たちのパワーがすごい。撮影後に待ち伏せされていて、水鉄砲でビショビショにされたよ(笑)その後、彼らから水鉄砲渡されたから、やられたのと同じくらいビショビショにし返した。(笑)」と沖縄での撮影のエピソードを振り返った。最後に加瀬は「話し込んでしまってすみません。今日はありがとうございました。これからも長谷井宏紀を宜しくお願いします」、長谷井監督は「ご来場ありがとうございました。加瀬くん来てくれてありがとう」と加瀬に感謝を述べ、イベントを締めた。

“お母さんをお金で買う”ことを思いついた孤児の少女ブランカは、ある日、盲目のギター弾きピーターと出会う。歌でお金を稼ぐ孤児の少女ブランカと、盲目のギター弾きの“幸せを探す旅”―。どんな人生にも勇気を持って、立ち向かう価値があることを教えてくれる、心温まる感動作に仕上がった。日本人初のヴェネツィア・ビエンナーレ&ヴェネツィア国際映画祭の出資を得て製作された長谷井宏紀の第一回監督作品がついに日本凱旋。演技初挑戦となるブランカ役のサイデル・ガブデロの美しい歌声と演技力は観る者を強く惹きつける。

加瀬亮、長谷井宏紀監督

映画『ブランカとギター弾き』は全国で順次公開中!
監督・脚本:長谷井宏紀
出演:サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド・カマチョ
配給:トランスフォーマー
©2015-ALL Rights Reserved Dorje Film