ヨシダナギ、佐々木芽生監督

半世紀以上続く“捕鯨論争”に新たな光を当てたドキュメンタリー映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』の佐々木芽生監督とフォトグラファー、ヨシダナギによる対談映像の<後編>が公開された。

“小さな町に押し寄せた、クジラを巡る大きな衝突”を描いた本作は、2010年に公開されて東京で25週間のロングランヒットを記録したドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の佐々木芽生監督による最新ドキュメンタリー。6年の制作期間をかけて、半世紀以上続く“捕鯨論争”に新たな光を当てた。和歌山県太地町は、追い込み漁を糾弾した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、世界的論争に巻き込まれた。世界中の活動家たちから集中非難の的となったこの町で、カメラは賛否に縛られない多種多様な意見を捉えていく。今まさに、世界が直面している“ダイバーシティの危機”を克服するヒントを示す。

今回、フォトグラファーのヨシダナギと佐々木芽生監督による対談が行われ、その模様を収めた映像の<後編>が公開された。ヨシダナギがアフリカに興味を持ったきっかけは5歳の時にたまたまテレビをつけてみたマサイ族の姿だったといい「槍を持って跳びはねてるのを見て『こういう職業なんだな』って思って、大きくなったら私もこれになろうって、この姿になって、一緒に跳びはねよう、って思ったのがアフリカに興味を持ったきっかけです」と明かす。

ヨシダは何故、現地の人と同じ裸の恰好になって写真を撮り続けるのかについて「彼らは、自分たちはこれが正装だけど、服を着ている人たちには羞恥心があると思ってるんですね。その羞恥心ある人が、まさか胸を晒すとか下を晒すなんてことはよっぽど勇気のいることだ、って。私たち観光客が行くと『どうせまた写真撮ってまたすぐ帰るだけだろう』っていう認識もあって。だから『どうしたら自分が本当に好きだからっていうのが伝わるんだろう』って思った時に、『脱ごう』って思って、私がブラを取ってパンツを脱いだ瞬間に、歌って踊って受け入れてくれて『よくぞそんな潔い行動をしてくれた』って」と語る。

また、佐々木監督も太地町での撮影時について「両方に対して『自分は両方の話を聞きますよ』っていうことを最初からはっきり言っておいて。できれば相手がいる前で、わざと撮影してる所を見てもらう。そうじゃないと、人の噂とかで『どうも撮ってたらしいよ』みたいに、間接的に耳に入るっていうのが一番不信感を持たれると思うんですよね。だから、あえて目の前で撮影しちゃう。それですごく嫌な顔されるんですけど、でも平気な顔してまた反対側に戻っていったりしして」と語った。

ヨシダがアフリカに興味をもった理由や原点に迫る貴重な対談となり、また太地町と外国人、両方を撮り続けた佐々木監督と、現地の人と同じ格好をして写真を撮り続けるヨシダナギと共に撮影する側だからこそのエピソードや、撮影にかける思いなど、アツく語り合った対談映像となった。

ヨシダナギ

佐々木芽生監督

映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』として9月9日(土)よりユーロスペースほか全国で順次公開!
監督:佐々木芽生
配給:エレファントハウス
© 「おクジラさま」プロジェクトチーム