山崎貴、クリストファー・ノーラン監督

『ダンケルク』のジャパンプレミアが8月23日(水)に丸の内ピカデリーで行われ、クリストファー・ノーラン監督らが登壇した。

今回、『インセプション』以来7年ぶりに来日したクリストファー・ノーラン監督が最新作『ダンケルク』のジャパンプレミア舞台挨拶に登壇。映画監督の山崎貴とのトークでは、映画の舞台裏を細かく解説した。また、舞台挨拶に先駆けて行われたレッドカーペットイベントには、藤岡弘、、羽野晶紀、アンミカ、ダンテ・カーヴァー、厚切りジェイソン、赤ペン瀧川先生、ハリー杉山が登場し、本作への期待を思い思いに語った。イギリス人の父親を持ち、幼いころにイギリスに住んでいたハリー杉山は「父親からも聞いていたし、学校でも聞いていた」と振り返り、本作について「言葉を失った。こんな臨場感や圧迫感を感じたことはない」と大絶賛だった。

舞台挨拶に登壇したノーラン監督は、本作の物語を「子どものころから聞かされていた、英国文化の重要な要素」と語り「この映画を撮るにあたって、世界中の観客に見せたいと思って撮った。物語はシンプルで普遍性があるもの。窮地に追い込まれても、そこから勝利を勝ち取るヒューマンストーリー」と本作の世界的ヒットの要因を語った。

ここで『永遠の0』などを手掛けた映画監督の山崎貴が登壇し、映画監督という立場から、ノーラン監督に質問を浴びせた。山崎は「(ノーラン作品は)実際にその場所に行ったように感じる。今回も戦場に放り込まれて、緊張を強いられているような感じがした」とその迫力について語り「映画は別世界に連れて行ってくれるのが魅力。そういう意味で映画の本質をついている作品が多い」とノーラン監督の作品を絶賛した。また、本作を体験した感想は「一緒に戦って結末に向かう。戦場に行ってきたと感じました」とその映像体験を明かし「僕は予算の都合でCGに頼りがち。(本作では)出てくるものが本物で、本当に爆発してる」とそのリアリティへの追及を称賛した。

逆にノーラン監督は、山崎監督に「『永遠の0』を観ましたが、その予算内ですごいものを作っていると思った。『ダンケルク』の作戦が描かれなかったのは理由があって、これを描くためにはハリウッドスタジオの予算がなければリアルに作れない。今回は素晴らしいチャンスをいただいた。山崎監督は限界がある中で『永遠の0』を作られたのは素晴らしい」と称賛した。またノーラン監督は「立派なセットを作ってもカメラで納めきれなければCGで処理せざるを得ない。スタッフも経験豊かな方に声をかけて、古いテックニックを使ったりする。塗って、切って背景に置いて、大勢いるように見せるとか、トラックが難題もあるように見せる。これは意外と安いんです」と意外なテクニックを明かし、山﨑も「勉強になります」と感心している様子。

また、本作は終始押し寄せる“緊張感”が話題を呼んでいるが「ヒッチコックやクルーゾ監督が緊張を冠を維持するのに長けていて、彼らのアプローチを参考にした。陸、海、空のストーリーラインが少しずつテンションを挙げる。盛り下がる場所がなく、常にテンションを挙げるように作っています。尺は僕の映画にしては短めで脚本も76ページ。お客さんを休ませることがない映画なので短いです」と徹底的に作りこまれた世界観について語った。さらに音楽について「自分の懐中時計の音を(音楽担当の)ハンス・ジマーに渡した。映像とスコアと音のエフェクトをうまく融合させて、テンションを上げ続ける構造を作った。あまりセリフがない映画なので、音でテンションを上げている」とその仕組みについても語るなど、映画の舞台裏を徹底的に明かした舞台挨拶となった。

これまでの戦争映画を超えた本作で描かれるのは、相手を打ち負かす“戦い”ではなく、生き残りをかけた“撤退”の物語。容赦なく敵勢が迫るなか、浜辺に追いつめられた若き兵士を案内人に陸海空の3視点で描かれるストーリーが同時に進行する。時間描写において他と一線を画すノーラン監督ならではの緊迫のサスペンスが、IMAXカメラによる迫力の映像で映し出される。1940年5月、フランス北端の町・ダンケルクに追いつめられた英仏40万の若き兵士たち。ドイツ敵軍の攻撃が迫る中、ドーバー海峡に浮かぶすべての船を総動員した史上最大の救出作戦が決行される。

【取材・写真・文/編集部】

クリストファー・ノーラン監督

クリストファー・ノーラン監督

山崎貴、クリストファー・ノーラン監督

山崎貴、クリストファー・ノーラン監督


映画『ダンケルク』は2017年9月9日(土)より全国で公開!
監督:クリストファー・ノーラン
出演:トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、ケネス・ブラナー、マーク・ライランス、ハリー・スタイルズ、フィオン・ホワイトヘッド
配給:ワーナー・ブラザース映画
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