本作でボクシングの道へと挑む役を演じる菅田とヤン。舞台挨拶では、大きなボードを突き破って登場した菅田とヤンだが、菅田は「撮影中は鍛えていたのに、衰えたのか一発で割れなかったので恥ずかしかった」と苦笑。ヤンも「撮影中は身体を鍛えていたのに、今はお腹が出てしまいました」と笑いを誘った。
二人が明かす通り、撮影時のボクサーとして鍛え上げられた体つきが話題となることもあるが「撮影の半年前にボクシングを始めた。僕が50数キロで、ヤンさんが70数キロ。僕は増量して、ヤンさんは減量して半年後にお会いしたころには同じくらいになりました」と振り返ったが、お互いにトレーニング中の映像を観ていたようで、菅田は「菅田さんの映像を観て緊張しました」と明かし、菅田も「(ヤンの代表作である)『息もできない』の怖い人だと思ったらおれも頑張らなきゃと思いました」と笑いを誘いつつ、撮影への意気込みを語った。
また、菅田はボクシングシーンについて「山田と僕は(当たって)OKでした」と明かし、山田は「ボディは耐えられるように鍛えた」と語った。さらに菅田は「ロープで動けないようにされてひたすら腹打ちされた。腹鍛えたらいけるんだな(と思った)」と本格的なトレーニングを行ったことを明かし、山田も「お芝居を超えたボクシングをしていた。それが映像に出ていたからよかった」とその出来に満足げな様子を見せた。しかし菅田は「その後、少女漫画原作の映画でお会いしたときは“何気取ってるんだろう”って思いました」と明かし、場内は笑いに包まれた。
最後にヤンは「自分たちの心で話をする映画です」とコメント、菅田は「今も昔も変わらず、孤独や失ったものがある人は人とのつながりを求めたり、愛情に飢えてたりすると思う。そういう亜子を埋めたい人たちの物語であったり、未来を作っていく映画だと思います。大事に見てほしいです」とメッセージを送った。
1960年代後半において、演劇、映画、文学とマルチに活躍し、今もなお注目され続ける寺山修司が唯一遺した長編小説「あゝ、荒野」。この“心の荒野”を見つめた傑作小説を話題作で主演を務める若手実力派俳優・菅田将暉と韓国の名優ヤン・イクチュンをW主演に迎え、現代に訴えるキーワードを取り入れ再構築し映画化した本作。2020年東京オリンピック後の近未来を舞台に、“人々の心”をせつなくも強烈な青春ストーリーとして鋭く描き出すのは『二重生活』で高い評価を得た岸善幸監督。
【写真/蔭山勝也】
映画『あゝ、荒野』は2017年10月7日(土)より前篇、10月21日(土)より後篇が連続公開!
監督:岸善幸
原作:寺山修司「あゝ、荒野」(角川文庫)
出演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、高橋和也、今野杏南、山田裕貴、でんでん、木村多江/ユースケ・サンタマリア
配給:スターサンズ
©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ