本作の元となった裁判は、欧米でセンセーショナルに報道され、注目を集め、議論を巻き起こし続けた。歴史とは、そして言論の自由の定義とは何なのか―。世論形成において、客観的な事実より、虚偽であっても個人の感情に訴える者が強い影響力を持ち、事実を軽視する社会的風潮。「ホロコースト」という最大にして最悪の世界史を題材とした本作は、歴史の真実を伝えていかなくてはならないという普遍的なテーマと現代に生きる我々一人ひとりに対し警鐘を鳴らしている。
ユダヤ人歴史学者・リップシュタット役をレイチェル・ワイズが熱演。自身のルーツにユダヤ人の血が流れる彼女は撮影前にリップシュタットに何度も会い、彼女の思考や信念に留まらず、特性や性格まで把握して演技に臨んでいる。そして、対決する歴史学者にはティモシー・スポール、年長弁護士にトム・ウィルキンソンという名優が共演する。さらには大ヒットドラマシリーズ「SHERLOCK(シャーロック)」のジム・モリアーティ役や『007 スペクター』の悪役Cを演じたことで知ら得れるアンドリュー・スコットも出演している。
さらに、現在も米アトランタのエモリー大学で教鞭をとる原作者のデボラ・E・リップシュタットが10月末に来日することが決定した。日本でも翻訳本が映画の公開にあわせて11月17日にハーパーコリンズ・ジャパンより刊行予定となっている。
1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講演が行われていた。彼女は自著「ホロコーストの真実」でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする”ホロコースト否定論“の主張を看過できず、真っ向から否定していた。ある日、アーヴィングはリップシュタットの講演に突如乗り込んだ挙句に、名誉毀損で提訴という行動に出る。異例の法廷対決を行うことになり、訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度で戦う中でリップシュタットは〝ホロコースト否定論“を崩す必要があった。彼女のために、英国人による大弁護団が組織され、アウシュビッツの現地調査に繰り出すなど、歴史の真実の追求が始まった。そして2000年1月、多くのマスコミが注目する中、王立裁判所で裁判が始まる。この かつてない歴史的裁判の行方は―。
映画『否定と肯定』は2017年12月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開!
監督:ミック・ジャクソン
原作:デボラ・E・リップシュタット「否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる戦い」(ハーバーコリンズ・ジャパン)
出演:レイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、ティモシー・スポール
配給:ツイン
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