9月13日[現地時間]、第42回トロント国際映画祭にて行われた本作のワールド・プレミア。世界の舞台でついにそのベールを脱いだ“かの鳥”が、トロントを熱狂の渦に包み込んだ。アカデミー賞レースの始まりを告げる北米最大規模の映画の祭典、トロント国際映画祭。本作は、コンテンポラリー・ワールドシネマ部門(Contemporary World Cinema)という「世界的な視野と注目すべきストーリー性を持つ作品」をセレクションする部門に選出された。注目の作品をいち早く観ようと集まった観客で埋めつくされたトロントの会場では、本作の上映後には泣いている観客の姿が多数見られ、万雷の拍手が鳴り響く中で現地の観客から日本語で「この映画は凄い、オメデトウ」と声をかけられると、白石監督は「ありがとうございます。嬉しいです」と感無量の様子で挨拶した。
Q&Aコーナーでも多くの質問に1つ1つ丁寧に答え「個人的には特に(阿部サダヲ演じる)陣治に感情移入をしました。陣治の愛の証明の仕方は誰にでもできるものではないし、心が張り裂けそうな気持ちになりました。(対する十和子役は)原作を最初に読んだときに蒼井さんが思い浮かびました。他の人にはオファーしておらず、蒼井優さんじゃなければ成立しなかったと思います」と、主演の蒼井と阿部の2人を絶賛しながら振り返った。
また、“不思議なギミックのある演出”について質問が及ぶと「日本映画は70年代や80年代の映画ではそうだったのですが、僕も低予算の良質なアート系映画に取り組んでいて、例えお金が無くても何かいろいろな表現方法にチャレンジしていた時期があって、そういった時代の映画が僕も好きなので手法を少し取り入れました」と細かく丁寧に答えた。
時間ギリギリまで質問が飛び交う大盛り上がりぶりを見せた。終了後には、会場の外で観客を出迎えた白石監督が「とても感動した!ありがとう!」とサイン攻め、握手攻めにあう光景も見られるなど、共感度0%、不快度100%の“まぎれもない愛の物語”がセンセーションを巻き起こした。
最低な人間たちがあぶりだす“究極の愛”の物語である本作。沼田まほかるの20万部を超える同名人気ミステリー小説を原作に、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が初めて本格的な大人のラブストーリーに挑む。主演は蒼井優と阿部サダヲ。「登場人物がみんな最低すぎて誰にも共感できないし、不快。なのにページをめくる手を止められない!」とイヤミス女王と言われる沼田まほかる原作の共感度ゼロな最低な女と男を蒼井と阿部が演じる。さらに松坂桃李、竹野内豊といった実力確かな豪華俳優陣が織りなす“全員最低なのにまぎれもない愛の物語”が描かれる本作。
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は2017年10月28日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
監督:白石和彌
原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫刊)
出演:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李/村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅう/竹野内豊
配給:クロックワークス
©2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会