映画『散歩する侵略者』のスピンオフドラマとして生まれ、現在WOWOWでOAされ話題沸騰中の「予兆 散歩する侵略者」(全5話)。そのドラマが大反響により140分に凝縮されて劇場版として公開される。映画『散歩する侵略者』は、劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの人気舞台を、国内外で常に注目を集める黒沢清監督が映画化。数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくるという大胆なアイデアをもとに、誰も見たことがない新たなエンターテインメントとして大ヒットを記録。そんな映画のアナザーストーリーが、同じく黒沢清監督によって新たな設定・キャストでスピンオフドラマ「予兆 散歩する侵略者」だ。
黒沢監督とともに共同脚本を務めたのは、『リング』シリーズなどを手掛けJホラーブームをけん引した高橋洋。黒沢監督とのタッグは『蛇の道』(1998)以来、実に19年ぶり。その不穏で恐怖に満ちた世界観を見事に構築し、まさに映画『散歩する侵略者』と対になる作品を生み出した。異変に気付き、必死に自分たちの世界を守ろうとする主人公・悦子役を夏帆、図らずも「侵略者」の手先となり苦悩する悦子の夫・辰雄役を染谷将太、そして映画版とは全く違う明確な「“悪”の侵略者」を東出昌大が演じる。
WOWOWでドラマの第1話がOAされると、映画版と大きく異なる恐怖と驚愕の展開に、終了直後から「これぞ黒沢清!」「素晴らしく怖い」「登場人物全員怪しい」「これは映画館で観たいレベル」「次まで1週間も待てない」「ひたすら演出で恐怖を感じさせる。最高」と話題沸騰となり、大きな反響を巻き起こしている。今回、その大反響を受け、『予兆 散歩する侵略者 劇場版』として急遽劇場公開が決定した。劇場公開にあたり、黒沢監督が要とも言える「音」の演出にこだわり、ドルビーデジタル5.1の劇場クオリティにアップグレード。さらに映像の細部にも変更が加えられ、本作の世界観をより深く堪能できる仕上がりとなっている。新宿ピカデリーでは、11月11日(土)より2週間の上映を予定。そのほか、大阪ステーションシティシネマ、名古屋ミッドランドスクエアシネマ、札幌シネマフロンティアで公開される。
黒沢清監督 コメント
ほぼ三人だけのキャストで、侵略の予兆というテーマに挑みました。ごく身近な人間が、家庭や職場が、世界全体がゆっくりと確実に変貌していきます。やがて誰もいなくなった街の中で、夏帆さん演じる主人公は何と直面し、どのような決意を持って先に進んでいくのでしょうか。壮大で身の毛のよだつ出来事が、可能な限りリアルに描写されています。ただし、これはあくまで映画です。ここで描かれていることが現実化しないことを望みます。
高橋洋(脚本)コメント
黒沢監督と組むのは久々だけど、二人が出会えば、怖い映画を作ろうってことになるのです。ただ怖いことが起こる映画じゃないんです。二人が目指しているのは、観客が見てゆくうちに、え、これヤバい・・・って気づくような怖さです。前川さんの原作には『ボディ・スナッチャー』の“替え玉妄想”に匹敵するようなヤバいアイデアがありました。だから「侵略SF恐怖映画」が生まれるのは必然なんです。
山際悦子(夏帆)は、同僚の浅川みゆき(岸井ゆきの)から、「家に幽霊がいる」と告白される。みゆきの自宅に行くとそこには実の父親がいるだけだった。みゆきの精神状態を心配した悦子は、夫・辰雄(染谷将太)の勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきは「家族」という《概念》が欠落していることが分かる。帰宅した悦子は、辰雄に病院で紹介された新任の外科医・真壁司郎(東出昌大)に違和感を抱いたことを話すが、辰雄からは素っ気ない返事のみ。常に真壁と行動をともにする辰雄が精神的に追い詰められていく様子に、悦子は得体の知れない不安を抱くようになる。ある日、悦子は病院で辰雄と一緒にいた真壁から「地球を侵略しに来た」と告げられる。冗談とも本気ともつかない告白に、悦子は自分の身の周りで次々に起こる異変に、真壁が関与しているのではないかと疑い始める―。
『予兆 散歩する侵略者 劇場版』は2017年11月11日(土)より公開!
監督:黒沢清
原作:前川知大「散歩する侵略者」
出演:夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、安井順平、石橋けい、吉岡睦雄、大塚ヒロタ、千葉哲也、諏訪太朗、渡辺真起子、中村まこと/大杉漣
配給:ポニーキャニオン
©2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ