後篇を観終わったばかりの観客から盛大な拍手に迎えられ菅田、岸監督が揃って登壇。雨が降りしきる中で行われた舞台挨拶に、菅田は「このところ暑いと思ったら寒くなって、この体をいじめてくる感じ、なんか荒野っぽいなと個人的には思ってま
した。(撮影をしていた)ちょうど去年のあの頃はもっと暑かったなと思ってそんな次第でございます」と撮影を振り返りつつ挨拶した。
先日、第22回釜山国際映画祭で世界初披露となった本作だが、現地でその反応を肌で感じたという菅田は「海外の人って本当に(先入観なしに)素直で、僕の事を知らない人たちが作品を観てくれる環境は新鮮でした。言語は違えど伝わるものはちゃんと伝わるな、と」と日本での上映とは違う空気を感じたようで、岸監督は「(菅田とW主演を務める)ヤンさんの母国で上映できたことが本当に光栄でした。Q&Aという上映後に観客の方とお話できる機会があったんですが、鋭い質問が沢山あって(笑)これからの励みになりました」と手ごたえがあったことを明かした。
後篇で描かれる新次(菅田)vs裕二(山田裕貴)戦、新次vsバリカン(ヤン・イクチュン)戦のボクシングの試合シーンは5日間連続の壮絶な撮影現場だったというが「一緒に闘っていた山田(裕貴)から『人を超えたね(笑)』と言われました。朝方撮影が終わってその後すぐドラマ『ジミスゴ』(地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子、日本テレビ系列)の撮影だったんですけど、もう体から熱を発してしてました。高熱ボーイですね・・・」と会場を沸かせた。
そして、新次・建二のイメージカラーである赤・青の花束を携えて、本作の主題歌「今夜」を手掛けたBRAHMANのTOSHI-LOWが登場。TOSHI-LOWは「(作品を観て)一言じゃ言い表せないけど、即興性の高いあのテラヤマ感というものを出すのはとても難しいと思うけど良く紐解いたなと。これは1つのすごい正解だったと思った」と岸監督をたたえつつ「あと、木下あかりのおっぱいより菅田の尻をみていた自分がいた(笑)格好良いです、役者、菅田将暉!」と大絶賛した。さらにこの場で「今夜」がギター弾き語りで生披露され、このサプライズに感無量の菅田。最後に菅田は「この作品が大好きです。どんどん広めていただけるとうれしいです」とメッセージを送った。
1960年代後半において、演劇、映画、文学とマルチに活躍し、今もなお注目され続ける寺山修司が唯一遺した長編小説「あゝ、荒野」。この“心の荒野”を見つめた傑作小説を話題作で主演を務める若手実力派俳優・菅田将暉と韓国の名優ヤン・イクチュンをW主演に迎え、現代に訴えるキーワードを取り入れ再構築し映画化した本作。2020年東京オリンピック後の近未来を舞台に、“人々の心”をせつなくも強烈な青春ストーリーとして鋭く描き出すのは『二重生活』で高い評価を得た岸善幸監督。
映画『あゝ、荒野』後篇は全国で公開中!
監督:岸善幸
原作:寺山修司「あゝ、荒野」(角川文庫)
出演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、高橋和也、今野杏南、山田裕貴、でんでん、木村多江/ユースケ・サンタマリア
配給:スターサンズ
©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ