イベントには、日本語吹替え版の主題歌を担当する吉田兄弟と、このイベントで吹替え版への参加が明らかにされた小林幸子が登壇した。ディズニー映画『ルイスと未来泥棒』(2007)のミルドレッド役以来、10年ぶりとなる声優に挑戦した小林幸子。劇中では、主人公・クボが村で親しくしている心の優しいおばあさん・カメヨを演じている。
吉田兄弟による楽曲の演奏から始まったイベントは、最後に向けて盛り上がるという津軽三味線の迫力を存分に感じられる演奏で、演奏が終わると場内からは大きな拍手が沸き起こった。今回の主題歌へのオファーについて吉田健一は「非常に嬉しかった」と笑顔で語り、本国版と同楽曲を演奏するにあたっては「いい意味で違いを見せられた」と自信を見せた。また、その際には「原曲の良さを壊さないように、三味線でやることで新たな発見をしていただければ」とこだわりを明かした。また、吉田良一郎は「主人公の少年が三味線を持っているなんてかっこいい、こんな時代が来たんだなとうれしく思います」と感慨深げに語った。
ここで約40秒の本編映像が上映され、同シーンに登場するおばあさん・カメヨを演じる小林幸子が登壇すると大きな歓声が起こり、小林は「おばあちゃんの役、『キター!』と思いました。一番似合ってるじゃないかというくらいの役だと思っています」とカメヨ役の出来栄えに自信を見せた。観客の多くが気付かなかった様子の好演だったが、小林は「クボの一番の理解者で、チャーミングなんです。ジョークで盛り上げようとする温かいおばあちゃんです」と自身の役どころを語った。また、この日小林は、劇中でモチーフとして使われている折り紙を意識して、鶴の着物に身を包み、折り鶴をヘア飾りに用いた。
また、今回久しぶりの声優へのチャレンジとなった小林だが「自分が楽しまなければ楽しくはない」と持論を語ると、吉田健一も「演奏中に笑顔だねってよく言われる」と同意。さらに小林は、“ラスボス”として多くの人に慕われていることについて「みんなに元気を与える存在でありたいです」と笑顔を見せた。
本作について「日本人がもっと日本のことをもっと勉強しないといけないと思った」というほど作りこまれた描写であることを語る小林。吉田健一も「三味線に関しては100%。日本へのリスペクトがあり、勉強されている。海外発信というのが悔しいくらいの気持ちになりました」と本作の完成度の高さを明かした。
イベントでは実物のクボの人形が登場したが、その人形を持った小林は「すごい繊細です」と驚きを隠せない様子で、吉田健一も「弦が切れちゃうくらい細い」と三味線の出来の素晴らしさに感銘を受けており、劇中ではクボの表情が4,800万通り用意され、3秒を1週間かけて撮影することが明かされると、「意味が分かりません・・・」とあまりに気の遠くなるような作業に驚きが止まらない様子の小林。
最後に吉田健一は「日本人にとっては、日本を再認識し、良いところを再発見できる映画です。カバーする楽曲も含めて楽しんでいただければ」と本作をアピールし、小林は「本当に泣きました。感動しました。奇跡と言える芸術を堪能していただければ」とメッセージを送った。
数々の傑作を送り出してきたストップモーション技術最高峰スタジオ・ライカが、今回挑んだのは“古き日本”。情感あふれる日本の風景や風習を、息を飲む美しさで描いた本作は、本年度アカデミー賞や全世界の映画賞を総なめし話題を呼んだ。監督には、黒澤明や宮崎駿を敬愛するトラヴィス・ナイト。シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラら超豪華俳優陣がボイスキャストを務める。ライカの最先端クリエーターたちが、壮大なセットの中で人形や美術を1コマ1コマ動かし、1秒間の映像のために24枚の写真を撮影しながら作り上げた努力と愛情の結晶に、名だたるキャストたちが命を吹き込む。大人にこそ観てほしい、圧巻のストップモーション絵巻がついに上陸する。
【取材・写真・文/編集部】
映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は2017年11月18日(土)より新宿バルト9ほか全国で公開!
監督:トラヴィス・ナイト
声の出演:アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ
配給:ギャガ
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