「本作を作るのに4年かかり、そのうち脚本には3年かかった」というポッペ監督は、その理由として「実際に起きたことを忠実に再現することが大切だったから」と明かし、「王としてではなく、人としてどうだったのかを語るのが大事だった」と、本作が本国ノルウェーで大ヒットを記録することになった本作の魅力であるリアリティへの追及について語った。また、その過程では劇中のホーコン国王の孫にあたるアストリッド王女にも会い、そこでは「祖父ととしてどうだったのか」などの話を聞けたという。
また、本作をよりリアルにするために「王宮で撮る必要があった」というポッペ監督。しかし、「許可が下りることはありえない」と思われたが、今回は許可が下り、実際に使われている王宮での撮影が行われた。さらに現国王で、ホーコン国王の孫であるハーラル国王が実際に執務を行っている隣の部屋での撮影も行われたといい、ホーコン国王が登場するシーンの撮影を行っている部屋の隣で、その孫であるハーラル国王が「『今隣の部屋で撮影をしているから、大きな声で話すことはできない』とひそひそ話をするシュールな体験をした」と明かされ、会場は笑いに包まれた。
さらに、劇中でホーコン国王役を演じたイェスパー・クリステンセンだが「イェスパーがやるのは大前提でした」と明かしたポッペ監督。しかし、撮影にあたってはクリステンセンが出演し、ミスター・ホワイト役を演じる『007/スペクター』と時期が重なってしまったこともあり「仕方なく一年待ちました」と語った。そんなクリステンセンの起用の理由は「素晴らしい役者であることと、ホーコン国王にそっくりだから」と語るポッペ監督。そのエピソードとして、王宮での撮影時に「キッチンから王宮のスタッフが出てきて、衣装を着たイェスパーを見て、亡くなったホーコン国王のお化けを見たように驚き、持っていたグラスを落として粉々に割ってしまった」と明かされ、場内からは驚きの声が上がった。
最後に、ポッペ監督は「この映画を撮った時にはノルウェーの観客しか頭にありませんでした。作ってみたら、アメリカや日本、南アフリカなど、いろいろな国の方々が興味を持ってくれ、これには驚きました。気にったらぜひ噂を広めてください」とメッセージを送った。
本国ノルウェーでは3週連続1位を獲得し、国民の7人に1人が鑑賞する社会現象的大ヒットを記録した本作。北欧の小国ながらナチス・ドイツに最も抵抗し続けたノルウェーにとって、歴史に残る重大な決断を下した国王・ホーコン7世の運命の3日間を描く。実在した主人公のホーコン7世を演じたのは「007」シリーズでミスター・ホワイト役のイェスパー・クリステンセン。息子のオーラヴ役をアンドレス・バースモ・クリスティアンセン、ノルウェーに降伏を迫るドイツ公使役をカール・マルコヴィクスが演じる。監督は『おやすみなさいを言いたくて』のエリック・ポッペ。
【取材・写真・文/編集部】
映画『ヒトラーに屈しなかった国王』は2017年12月16日(土)よりシネスッチ銀座ほか全国で順次公開!
監督:エリック・ポッペ
出演:イェスパー・クリステンセン、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン、カール・マルコヴィクス
配給:アット エンタテインメント
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