12月23日の公開から公開3週目を迎えた本作。登壇した渡辺は冒頭の挨拶で「大ヒット祈願として」と口を滑らせ、松岡から「(大ヒット)御礼!祈願は去年やった!」とツッコミを入れられ苦笑いしながら始まった今回の舞台挨拶。公開後には女優仲間でもある伊藤沙莉や橋本愛からも連絡があったようで「同世代の尊敬している女優がメールをくれたことが励みになった」と初主演へのプレッシャーを解放する術にもなっていた様子を窺わせた。また、撮影中には橋本に泣きついたこともあったようで、鑑賞後に「『言っていた意味分かったよ』って言ってくれた」と改めて振り返る機会にもなったよう。
今回のイベントには複数回鑑賞した観客も多く、「2回観た方、3回観た方」と少しずつ増やしていっても手が上がり続ける状況に思わず「え、うそ!」と驚きを隠せない様子の松岡。また「今日初めて観た方も、何度も観る作品になったら嬉しいです」と笑顔を見せた。しかし、年末年始にかけての公開だったことで、その年のベスト10に入るかという話題には「1月に観るとおもしろいのがいっぱい出てくる。年末まで覚えていてくれると嬉しいなー」と語った。
さらに今回、4月の「ウディネ・ファーイースト映画祭」(イタリア)、5月の「ニッポン・コネクション」(ドイツ)、7月の「JAPAN CUTS」(アメリカ・ニューヨーク)など海外の映画祭への出品が決まったことについて「空耳アワーって分かる?」と劇中に出てくる日本ならではの言葉の翻訳に不安を感じている様子。昨年の第30回東京国際映画祭でも海外の観客やマスコミを前に上映されたが、世界中の人が観ることについては「ピンとこない」と実感がわかないようだが「映画は海を超えるし、言葉の壁を超える」と共感する観客がいることを期待した。
また受験シーズンに突入する中で、松岡は自身が大学に行かなかったことについて、父親からは「4年で芽が出なかったら諦めてほしい」と言われたことを明かしたが「心の中では、ご飯が食べられるようになるまで絶対に行かない」と決めていたことを明かした。また受験生には「行きたい道を、信じた道を進んでほしい」とメッセージを送った。逆に働いて欲しいという親に対して大学進学を選んだという渡辺は「自分の気持ち、決断を大事にしてもらいたい」と語った。
最後に松岡は「普段心から叫べなかったり、泣けない方も、ヨシカに思いを乗せて欲しい。これからも皆様の近くにヨシカがいたら、『勝手にふるえてろ』があったらこれ以上のことはない」とメッセージを送り、「私が初めて主演した映画を『公開当時劇場で観たんだよ』って自慢していただけるような女優さんになりたい」と改めて決意を語った。
映画初主演となる若手演技派女優・松岡茉優が恋愛ド素人OLを熱演する本作は、暴走する恋をリアルに、イタく、キュートに描く、痛快コメディ。原作は「蹴りたい背中」で第130回芥川賞を受賞した作家・綿矢りさによる同名小説。微妙な年頃の女性の行き場のない感情をリアルに描いている。メガホンを取るのは、現代の女性のリアルを優しい視線で描いてきた大九明子監督。24歳まで恋愛経験ゼロの遅咲きな主人公・ヨシカが繰り広げる、悩んでは傷つき、暴走する恋の行方を、誰しもが最後まで応援したくなる痛快コメディに仕上げた。
【取材・写真・文/編集部】
映画『勝手にふるえてろ』は全国で公開中!
監督・脚本:大九明子
原作:綿矢りさ「勝手にふるえてろ」(文春文庫)
出演:松岡茉優、渡辺大知(黒猫チェルシー)、石橋杏奈、北村匠海(DISH//)、趣里、前野朋哉、池田鉄洋、稲川実代子、栁俊太郎、山野海、梶原ひかり、金井美樹、小林龍二(DISH//)、増田朋弥、後藤ユウミ、原扶貴子、仲田育史、松島庄汰、古舘寛治、片桐はいり
※正式には外字の舘(舎官)となります。WEB上では表現できない文字のため「舘」を使用しています。
配給:ファンム・フィルム
©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会