映画PRでの来日は4年3か月ぶりとなるソフィア・コッポラ監督。今回のイベントでは、コッポラ監督が映画の魅力について語ったほか、花束ゲストとして女優・草刈民代が登壇。世界を股にかけて活躍する2人の女性によるトークが行われた。
これまでの作品とはテイストが異なるスリラー作品を引っ提げての来日となったコッポラ監督は「日本が大好き」と笑顔で挨拶し、続けて「子どものころから来ており、世界中でも好きな場所の一つ」と日本への愛を口にした。本作で、これまでとは異なるイメージに挑戦した理由について「以前より南北戦争の設定に興味を持っていた。当日暮らしていた女性たちに興味を持っており、今も繰り広げられている男女の力関係、愛憎劇を描きたいと思いました」と語った。
また、本作でカンヌ国際映画祭において女性としては56年ぶりとなる監督賞を受賞したコッポラ監督。本作はメインキャストもほとんどが女性で、スタッフの多くが女性で作られており、そのような状況で作れたことについては「嬉しく思っています」と語り、「アメリカでもたくさんの女性監督が活躍している」と語った。
ここで以前よりコッポラ監督の作品をよく観ているという草刈が登壇。本作について「美しい映画で、厳しい映画だと思いました。リアルな厳しさを感じました」と語ると、コッポラ監督は「私自身も登場人物たちになりきって、どう考えたのかを想像しながら描きました」と同意している様子を見せた。
本作では世代の異なる3人の女性たちがメインキャラクターとして登場するが、「個性が明確なのがすごい」と感心している様子の草刈。コッポラ監督は「3人が(出会う一人の男性である)彼にどう接するか、どうリアクションを取るか、なぜかを考えました。感じ方も接し方も違いますし、男性もそれぞれに違った目を見せてきます」と明かした。
最後に草刈は、『ロスト・イン・トランスレーション』では日本でのロケも行われたが、日本にコッポラ監督のファンが多くいることから、再び日本での映画撮影を行う予定はないのか尋ねると、コッポラ監督は「日本に滞在することが大好きで、文化や伝統に興味があります。残念ながら具体的なプランはありませんが、また日本に長く滞在したいという思いはあります」と語った。
ソフィア・コッポラ監督の長編6作目となる本作は、ポップでかわいいガーリーカルチャー全開の世界観のイメージを大きく覆す新境地となるスリラー。トーマス・カリナンが1966年に書いた小説「The Beguiled」を女性視点で描く。南北戦争期、閉ざされた女子学園に一人の負傷兵が転がり込んで来ることで巻き起こる女たちの愛憎劇。秩序を守る女学院の園長役をニコール・キッドマン、小悪魔な生徒役をエル・ファニング、恋に恋する純粋な教師役をキルスティン・ダンスト、負傷兵役をコリン・ファレルが演じている。第70回カンヌ国際映画祭では女性としては56年ぶり2人目の快挙となる監督賞を受賞した。
【取材・写真・文/編集部】
映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は2018年2月23日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国で公開!
監督:ソフィア・コッポラ
出演:ニコール・キッドマン、エル・ファニング、キルスティン・ダンスト、コリン・ファレル
配給:アスミック・エース STAR CHANNEL MOVIES
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