お母さんが隣の若い男と「ダイナマイト心中」という嘘のような実話をもつ伝説のカルチャー・エロ雑誌の編集長・末井昭の生い立ちをベースにした青春グラフィティである本作。末井の自伝的エッセイを、俳優・柄本佑を主演に迎え、冨永昌敬監督が映画化。発禁と創刊を繰り返しながら数々の雑誌を世におくりだした伝説の編集長である末井。同エッセイでは、末井が7歳の時に、隣の若い男とダイナマイトで心中した母親の実エピソードからつづられている。主人公・末井青年を柄本佑、若き末井青年をあたたかく支える妻・牧子役を前田敦子、末井青年が恋に恋する愛人・笛子役を三浦透子、ダイナマイトで爆発して隣の若い男と心中する末井青年のスキャンダルな母・富子役を尾野真千子が演じる。
今回、“ワォ❤︎音”あり、“ピー音”あり、前代未聞のスキャンダルな予告編が解禁された。そして、まさかの原作者・末井昭本人が歌う主題歌は、映画主題歌に初挑戦となる尾野真千子とのデュエットソング。さらに本作の主題歌・劇中音楽を手がけた菊地成孔も役者として映画へ初出演している。
映像では、主演の柄本佑に加え、彼を取り囲む3人の女たち、動じない妻を演じた前田敦子、魅惑の愛人を演じた三浦透子、爆発する母を演じた尾野真千子らの魅力溢れるシーンや、心の友を演じた峯田和伸、毎度お世話になる刑事を演じた松重豊、身勝手な父親を村上淳ら個性派俳優陣のシーン、さらに音楽を担当した菊地成孔が、アラーキーをモデルにした写真家・荒木さんを演じるシーン解禁され、70年~80年代の空気感と共に、笑いと狂乱に満ちた当時のアンダーグラウンドカルチャーシーンが描かれている。
さらに、尾野真千子と原作者である末井昭本人がデュエットする主題歌「山の音」も解禁。映画本編のエンドロールに流れるこの楽曲は、母が息子を包みこんでいるような歌詞内容となっており、母親役を演じた尾野と原作者・末井のデュエットは、時空を超えた母と息子の奇跡の親子デュエットが実現したともいえる。本作で、映画主題歌に初めて挑戦した尾野真千子は、アンニュイで艶めくその歌声でエンディングを豊かに彩っており、この楽曲は3月7日に発売される本作のオリジナル・サウンドトラックにも収録が決定している。
スキャンダラスな内容ゆえにシネコンでの公開も危ぶまれた結果、“ワォ❤︎”・“ピー音”で大事なセリフの一部を隠す処理をした前代未聞の予告編。大人の事情で隠されてしまった部分は劇場にて。
柄本佑(末井昭役役)コメント
コロコロと転がっていくような曲とちょっとヘンナ歌詞がとっても色っぽく、そこに重なる尾野真千子さんと末井昭さんのめくるめくコラボが聞いていて気持ちいい一曲です。更に映画を観てから聴くと、末井さんと末井さんのお母さんが奇跡のディエットをしている!と、素敵な錯覚を味わえます!
尾野真千子(富子役)コメント
―主題歌オファーがあった際
本当に私で良いの?嘘でしょ?と思いました。感覚が掴めずとても難しかったですが皆さんの励ましのおかげで、もっともっと歌ってみたい。という感情が湧き、皆さんがおだて上手だなと思いました。まさか原作者の末井昭さんとデュエット出来るなんて、とても貴重な体験をさせてもらいました。
―ご自身の歌についての感想は?
何も言えません・・・(笑)
末井昭(原作)コメント
ダイナマイト心中した母親がベースになっていますが、色んなイメージが膨らむ歌です。最初に聴いたとき涙ぐみました。
―尾野さんの歌について
歌が上手くて、声が超カワイイです。女優さんってスゴイ!
―収録時のエピソードについて
尾野さんは2時間ほどでレコーディングが終わりましたが、僕は2日かかりました。一緒に行った妻が焦って、菊地さんに「スエイは歌えるんです。荒木経惟さんのパーティでよく宗右衛門町ブルースを歌うんです」と言っていました。カラオケじゃないんだから。
菊地成孔(音楽)コメント
音楽監督のオファーを頂いたときに、真っ先に閃いたのは、末井さんに主題歌として女優さんとのデュエットソングを歌って頂く事でした。これは、私が知る限り世界映画史上はじめての事ですし、複雑にねじれたマザコン映画(登場する女性――男性の一部さえも――は全て末井さんの母親の変形した投影です)である本作の本質を突く事になり、本作に音楽からのオーラを与え、映画としての霊力的階級を一段階上げると確信したからです。母親役である尾野さんの素晴らしい歌唱によって、「残された子(本人)と母親(女優が演ずる虚構)」という倒錯的な構造にフォーカスが絞られました。この構造が発想された瞬間から、自然に歌詞も曲も出来ていました。小田朋美さんの中期ビートルズ風の素晴らしい管弦編曲も、無限の虚無と愛へのもがき、その葛藤を更に効果的に押し上げてくれました。素晴らしい主題歌だと思います。
菊地成孔(荒木さん役)コメント
―監督から荒木さん役で出演オファーがあったことについて
演技などできるはずがないので、3年断り続けましたが、とうとう逃げられなくなり、かなり軽い役に落として頂いく事、そして末井さんを主題歌に必ず起用する事、を条件にやらせて頂きました。私は過去、荒木先生に撮影して頂く機会があり、ちょっとした知己がある事、体型や声質や下町弁が似ていることから、冨永くんが勝手に興奮しただけであって、彼の判断は今でも間違っていたと思います。撮影自体は、自分の音楽のMVのそれより遥かに短時間で簡単に済みましたが、他人が考えた台詞とカメラの動かし方を覚えて、そこに体や顔の動きをつけ、他の俳優さんたちとお芝居を会わせるというのは、私にはとてもじゃありませんが無理で、そのことはキャメラが雄弁に記録していると思います。
冨永昌敬(監督・脚本)コメント
「山の音」は、菊地さんと小田さんによって書かれた『素敵なダイナマイトスキャンダル』のエピローグです。これほど「主題」を補完してくれる主題歌はありません。たとえば歌詞の「地下鉄のトンネル」という一節(そんな場面は本編に存在しないし、そんな場面を撮りたかったと監督が思うほど、まさに補完)には、エンドクレジットの黒い背景も相まって無性にイメージを掻き立てられます。そして尾野さんと末井さんの歌唱は、二人のあたたかい声によって音響的な高揚を画面にもたらし、なお、散り散りに消えてゆく母と探し求める息子といったキャラクターさえ感じさせてくれるでしょう。この歌の魅力は、キャスティングの鮮やかさにまったく留まりません。じっくり聴いてほしいと思います。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』は2018年3月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国で公開!
監督・脚本:冨永昌敬
原作:末井昭「素敵なダイナマイトスキャンダル」(ちくま文庫刊)
出演:柄本佑、前田敦子、三浦透子、峯田和伸、松重豊、村上淳、尾野真千子、中島歩、落合モトキ、木嶋のりこ、瑞乃サリー、政岡泰志、菊地成孔、島本慶、若葉竜也、嶋田久作
配給:東京テアトル
©2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会