1993年から94年にかけて連載された岡崎京子による原作「リバーズ・エッジ」。このタイミングでの映画化について「僕自身も今なぜと思いました」と明かす行定監督。そのきっかけは「二階堂ふみからの発案」と振り返り、「この世の中がどうなっていくか分からない。“生きる”というテーマが見えてきて、今の人に刺さるんじゃないかと思った」と語った。発案者と言われた二階堂は『ヒミズ』の撮影中にスタッフから紹介されたという原作。「衝撃が強かった」と振り返り、その時の気持ちを「自分の中に傷跡が残った感覚だった」と明かした。また「生きることを、10代後半は特に疑問に思ったり、考え始める。それが普遍的なテーマ」と語った。
役作りに関してはそれぞれが苦労を重ねたようで、吉沢は「外見的な部分でも細い男だと思ったので、走ったり、食事を抑えたりした。一番は、原作と台本を行き来して人間性を考えた」と明かした。そんな中で森川は「比較的、(自身が演じた)カンナに性格が近い。人に対して一途な部分とか。“ああ、カンナっぽいな自分”と思って演じていました」と語った。
また、本作では小沢健二が主題歌を担当していることでも話題を呼んでいるが、行定監督は「『リバーズ・エッジ』の時代をよくわかっている人にエンディングを飾ってもらいたい」という思いから「小沢さんはドンピシャ」と語り、「あの人は天才なんだなと(思った)」と大絶賛した。
さらに本作は第68回ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品に選出されており、行定監督、二階堂、吉沢の3名がレッドカーペットに参加することが決定している。行定監督は5度目の同映画祭への参加となるが、出品が決まる前には「二階堂ふみからのプレッシャーがすごかった」と笑いながら明かす行定監督。「ベルリンに行きたいなって言うんですよ・・・。相手が決めてくれないと行けないんですよ」と笑いを誘い、二階堂は「行定監督のおかげで行くことができる」と感謝の気持ちを語るとともに、「力強い魂のこもった作品になったので、ぜひ海外の方にも見ていただきたいと思いました。純粋な気持ちで発言しておりました(笑)」と語った。
また、吉沢にとっては国内を含めて映画祭への参加が初めてということで「挑戦的な作品で、魂のこもった作品。光栄です」とコメント。さらに二階堂から原作者である岡崎からのメッセージが読まれたがその言葉は「みんな見てね!! 岡崎京子」という」非常に短い言葉で、「すごい説得力のあるお言葉だと思います」とコメントした二階堂を含めて会場は笑いに包まれた。最後に、二階堂は「私たちが頑張って作った作品です。最後まで堪能してください」とメッセージを送った。
若者たちの生と欲望を鮮烈に描く『リバーズ・エッジ』。監督を務めるのは『世界の中心で、愛を叫ぶ』『ナラタージュ』など恋愛映画の大作を手掛ける傍ら、『パレード』『ピンクとグレー』など若者たちのひずみを浮き彫りにする問題作も数多く生み出してきた行定勲監督。監督の元に、二階堂ふみ、吉沢亮のほか、森川葵、上杉柊平、SUMIREら、日本映画の新時代を担っていく華やかな若手キャストたちが大集結し、どうしようもない欲望と孤独を持て余し、生きることにもがく高校生たちの姿を鮮烈に浮かびあがらせる。
【取材・写真・文/編集部】
映画『リバーズ・エッジ』は2018年2月16日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国で公開!
監督:行定勲
原作:岡崎京子「リバーズ・エッジ」(宝島社)
出演:二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵
配給:キノフィルムズ
©2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社