今年で68回目を迎える世界三大映画祭のひとつであるベルリン国際映画祭。本作は、2月15日[現地時間]に開幕した同映画祭のパノラマ部門に正式出品され、オープニング作品を飾り、二階堂ふみ、吉沢亮、行定勲監督がレッドカーペットに登場した。その後、行われた公式上映では観客と共に映画を鑑賞、上映後に行われたQ&Aに参加した。パノラマ部門は世界中から良質の作品を幅広いジャンルで集めた部門。オープニングに邦画が選出されるのは、2007年の山田洋次監督『武士の一分』以来の11年ぶりの快挙となる。
映画祭のメイン会場となるBerlinale Palast(ベルリナーレ・パレスト)のレッドカーペットに登場した二階堂ふみ、吉沢亮、行定勲監督、小川真司プロデューサーの4人。二階堂はUNDER COVERのドレス、吉沢亮はタキシードを着用。レッドカーペットを歩いた感想を聞かれた二階堂は「すごい盛り上がっていて、ベルリンに来ることが出来たということを実感していて、とても感動しております」と笑顔で話し、吉沢も「楽しいです。僕は、映画祭自体というものが初めてで、街全体の活気もすごくて、楽しい経験をしているな、と思っています」と初めての映画祭への参加に興奮を抑えきれない様子。
今回5度目の同映画祭への参加となる行定監督は「僕は5回目のベルリンですが、レッドカーペットを歩いたのは初めてです。すごく注目していただけているなと。ベルリンの人たちの反応はすごく大事。ここから世界にその反応が拡がっていくんで、すごく楽しみにしてます」とベルリンの人々がどのような感想を抱くのか待ちきれない様子。
レッドカーペットイベントが終わり、公式上映が行われたのはメイン会場の近隣にあるCinemaxx(シネマックス)。映画は、21時の回、21時15分の回、21時30分の回と異例の3スクリーンで上映された。595名、278名、300名が定員となる会場は全て満席となる注目度の高さを見せた。
上映が終わり、会場は大きな拍手と歓声に包まれル中で客席から登壇した二階堂と吉沢。役作りについての質問に二階堂は「いかに演じるかということではなく、テクニカルなことでもなくて、どういう風にその場所で勘が生きるかということが、今回の作品では重要なプロセスだったと思います」、吉沢は「現場に入ってからは、先ほど二階堂さんがおっしゃった通り、どう現場で生きるかということを考えていました。」と二人とも現場の空気感で役作りをしたことを明かした。
続けて、舞台が94年と設定されていることについて監督は「僕にとって90年代というのは非常につまらない青春時代でした。でも、彼らからすると『よかったんじゃないか』とか、特に二階堂からは『80年代とか90年代って面白そうだよね』って言うんですね。もうすでに、ここにギャップがありますよね。でも、その20数年後の今を生きている彼らと一緒に映画を作るってことは、もしかしたら、自分の青春時代を振り返るには一番いい相手だったと思いました」と話すと、二階堂は「90年代に起こった出来事のことは、鮮明には覚えていなくとも、体で覚えていたり、匂いや感覚がしみ込んでいるものがあります」と同意し、吉沢も「ファッションや話題は異なりますが、根本的な部分は今の人たちと90年代の人たちの間で違いはないと思っています。この作品は90年代の若い高校生の話ですけど、はけ口というモノが90年代と今で変わっただけだと思ってます」と続き、観客の質問に丁寧に答えた。
観客の反応に手ごたえを感じた様子だった3人。パノラマ部門に出品された作品は観客賞、国際批評家連盟賞などの受賞対象となっており、24日[現地時間]の発表に期待がかかる。
若者たちの生と欲望を鮮烈に描く『リバーズ・エッジ』。監督を務めるのは『世界の中心で、愛を叫ぶ』『ナラタージュ』など恋愛映画の大作を手掛ける傍ら、『パレード』『ピンクとグレー』など若者たちのひずみを浮き彫りにする問題作も数多く生み出してきた行定勲監督。監督の元に、二階堂ふみ、吉沢亮のほか、森川葵、上杉柊平、SUMIREら、日本映画の新時代を担っていく華やかな若手キャストたちが大集結し、どうしようもない欲望と孤独を持て余し、生きることにもがく高校生たちの姿を鮮烈に浮かびあがらせる。
レッドカーペットの様子
鑑賞後の観客からのコメント
映画『リバーズ・エッジ』は2018年2月16日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国で公開!
監督:行定勲
原作:岡崎京子「リバーズ・エッジ」(宝島社)
出演:二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵
配給:キノフィルムズ
©2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社