自分らしさを守るための闘いに挑んだトランスジェンダーの女性を描いた映画『ナチュラルウーマン』の本編映像が解禁された。

自らもトランスジェンダーで歌手のダニエラ・ヴェガが驚くべき才能を開花し、各国の映画祭で話題の本作。チリ・サンティアゴでウェイトレスをしながらナイトクラブで歌っているトランスジェンダーのマリーナは、年の離れた恋人と暮らしていた。しかしマリーナの誕生日の夜に恋人が亡くなったことで、思いもかけないトラブルに巻き込まれることに―。逆境に負けずまっすぐに生きる美しきヒロイン・マリーナを演じるのは、自身もトランスジェンダーの歌手であるダニエラ・ヴェガ。監督はセバスティアン・レリオ。本作は、アカデミー賞外国語映画賞チリ代表に選出されたほか、ベルリン国際映画祭で脚本賞を受賞した。

最愛の恋人オルランドを失った悲しみの最中、彼の家族や元妻から責め立てられ、警察からも疑いの眼差しを浴びるヒロイン・マリーナ(ダニエラ・ヴェガ)。傷心のマリーナが歌のレッスンのため個人教授の元を訪れ、オペラ「Sposa son disprezzata」を披露するシーンでは、トランスジェンダーの歌手ダニエラ・ヴェガの美声を堪能することができる。「Sposa son disprezzata」は歌劇『バヤゼット』の中で歌われるアリアだが、その邦題は「私はないがしろにされた妻」となっており、オルランドの最期を看取った恋人でありながら、不当な扱いを受けるマリーナの心情を抒情的に表現している。

ダニエラ・ヴェガは幼い頃に、盲目だった祖母の影響で数多くのオペラに親しみ、音から想像される情景や豊かな音楽表現に魅了され、8歳で歌手としての才能を認められて以来、故郷チリではオペラ歌手として経歴を積んできた。マリーナがオペラを歌うという脚本は、レリオ監督がダニエラとの交流の中で書き加えていった設定だ。彼女自身、音楽大学を卒業したのではなく、個人教授に付き、ほとんど独学でオペラを習得していったという。そんな経歴も、どこか劇中のマリーナに重なる。映像後半の嵐の中を歩いていくシーンは、飛行機のタービンを使って風を起こし、一日がかりで撮影されたという渾身の演出となっており、マイノリティが受けてきた偏見や差別、マリーナの苦悩を美しくも幻想的に描き出し印象的だ。

映画『ナチュラルウーマン』は2018年2月24日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開!
監督・脚本:セバスティアン・レリオ
出演:ダニエラ・ヴェガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニェッコ
配給:アルバトロス・フィルム
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