昨年7月に長編映画第一作『メアリと魔女の花』が公開されたスタジオポノックの新作プロジェクト発表会が3月27日(火)に都内で行われ、「ポノック短編劇場」として『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』が今夏に全国で公開されることが発表された。

スタジオジブリを退社したプロデューサーの西村義明が設立し、スタジオジブリで『借りぐらしのアリエッティ』と『思い出のマーニー』を監督した米林宏昌により、長編映画第一作『メアリと魔女の花』を昨年7月に公開したスタジオポノック。今回の会見には、スタジオポノックの代表取締役を務める西村義明プロデューサーと、東宝の市川南常務取締役が出席し、2年連続となる同スタジオの最新プロジェクトについて語られた。

今回発表されたタイトルは『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』。新設された「ポノック短編劇場」のレーベル名のもと、8月24日(金)より東宝配給で全国で公開されることが決定した。これまでに長編アニメーション映画大作を描いてきた3人の監督が“現代のちいさな英雄”を描く。

『カニーニとカニーノ』
監督:米林宏昌
『メアリと魔女の花』の米林監督が、自身初のオリジナルストーリーで挑むカニの兄弟の大冒険ファンタジー。

『サムライエッグ』
監督:百瀬義行
巨匠・高畑勲監督の右腕として活躍した鬼才・百瀬監督が母と少年の愛と感動の人間ドラマを描く。

『透明人間』
監督:山下明彦
宮崎駿監督作品の中心を担った天才アニメーター・山下が、見えない男の孤独な戦いをスペクタクルアクションで魅せる。

本作の参加スタッフ・キャストは、西村義明プロデューサー、百瀬義行監督、山下明彦監督、米林宏昌監督のほか、オダギリジョー、小野真千子、田中泯、中田ヤスタカ、村松崇継が発表されている。

会見の冒頭で「僕らにとっても新たな挑戦」と語る西村プロデューサー。昨年公開された『メアリと魔女の花』の大ヒットを受けて、西村プロデューサーから「超実力派が一堂に会した短編を作る。それを配給していたけないか?」と相談されたという市川常務取締役は「二つ返事で『やりましょう』と言いました」と振り返り、「東宝にとっても新たなチャレンジ」と意気込みを語った。

2015年に設立され、昨年長編第一作を公開したスタジオポノックだが、「精根尽き果てて空っぽになってしまった」ことが、本作への挑戦のきっかけとなったと語る西村プロデューサは、、動画配信サービスの台頭によって、「かつてとは違う意識を持たないと進めない」という考えもあったことを明かした。また、挑戦の場として新たに“レーベル”という形で立ち上げた「ポノック短編劇場」では、今回は14~15分の短編3作品を上映するが、「尺は15分である必要があるのか」とも語っており、今後の展開としては「長編の合間に、隔年でできれば」と大まかな道筋を明かした。

さらに記者から長編作品の展開について聞かれると、「漠然と2年に1本作るのがやっと」と明かし、「企画から完成まで4年くらいかかる。ただ、4年に1回だと会社がつぶれちゃうので2年に1回作れたらベスト」と代表取締役も務める経営者としての目線を交えながら語った。

また、今回はスタジオジブリ出身者3名が監督を務めたが、「次にやるときは実写の監督かもしれないし、海外の監督かもしれない。絵本作家、漫画家とも組めると思う」とこれまでの概念にとらわれずに、本レーベルを展開していきたいという思いを語った。

本作は8月24日(金)より全国で公開される。料金は「通常よりは安くなることは確実」だが、現在「検討中」と市川常務取締役が明かしている。

【取材・写真・文/編集部】

オダギリジョー

尾野真千子
(撮影:西村康)

田中泯

特報映像


映画『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』は2018年8月24日(金)より全国で公開!
配給:東宝
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