本作は、娼夫として生きる主人公・リョウが一人の人間として、男性として成長する姿を描くセンセーショナルな人間ドラマ。原作は2001年の直木賞候補となった石田衣良の同名小説。性の極限を描いたセンセーショナルな内容は大きな話題となり、多くの女性から共感を得た。また昨年8月には三浦大輔演出、松坂桃李主演で舞台化され、原作に忠実にセックスを真っ向からから描いた内容と松坂桃李の文字通りの体当たりの演技が話題騒然となり、チケット売り出しと同時にソールドアウト。舞台と同じ三浦×松坂のコンビで映画化した本作では、舞台とは一味違う映像表現の限界に挑戦する。
公開されている特報や予告編が大きな反響を呼び、松坂桃李が身体も感情も“隠すことなく”挑んだセックスシーンにも注目が集まっている本作。舞台版では演出を手掛けた三浦大輔監督は、映画『娼年』での性描写について、「ひとつひとつの行為によって、どういう感情が沸き起こり、それを積み重ねることによって、人間と人間の間にどういうコミュニケーションの形が生まれるのか、丁寧に細かく、その解像度を高めて、描いていきました」と振り返る。
事前に全てのセックスシーンで画コンテを作成し、それをもとにスタンドイン(撮影の準備のために俳優の代理をする人物)によるビデオコンテを作成、さらに松坂桃李ら出演者による入念なリハーサルを実施。俳優の身体の動きをこと細かくシュミレーションし、それに伴うカメラの位置を徹底的に検証した。5日間に及んだリハーサルでは試行錯誤が繰り返され、これまでの日本映画にはなかった、緻密な“肉体のコミュニケーション”をスクリーンに描こうとする試みは、その後の撮影や編集の段階でも追求された。
撮影について松坂は、「ここまで精神的に追い込まれた現場は初めてかもしれません」と語っている。小西プロデューサーは、「俳優・松坂桃李の役者魂と人間・松坂桃李のメンタルの安定感に驚かされました。当然と言えば当然ですが、これはちょっと・・・という気の迷いがほんの少しでも出たらこの役は出来ないと思います。丸1日延々とセックスシーンの撮影が続いても、時には卑猥な台詞を吐いたり過激な描写があっても、何一つ一切ひるまず黙々と取り組む。一方、そういった肉体的にハードなシーンが続く中でリョウという人物のセンシティブな感情の揺れ動きも見事に表現している。本当に大変だったと思います。リョウが娼夫の仕事を全うしていることと、松坂桃李が俳優として役を全うしていることが、現場を見ていると見事にシンクロしていて感動しました」と振り返っている。
「映画『娼年』で、7、8年分の濡れ場をやった感じです」と明かす松坂。映画『彼女がその名を知らない鳥たち』(昨年10月公開)で、舞台版「娼年」での濡れ場経験から、白石和彌監督やキャスト陣に濡れ場の“先生”と呼ばれていたことについて話を振ると、「濡れ場のプロフェッショナルとして、副業を見つけたかな(笑)。濡れ場監督とか。出演するのではなく、アクション監督のように監修が必要なところで呼ばれるみたいな。殺陣師?いや、濡れ場師!!(濡れ場師、かっこいいですね!という声に)新しいですね!エンドロールに“松坂桃李”とあって、あれ?どこに出てた?って。“濡れ場指導:松坂桃李”とか」と軽やかに笑った。
映画『娼年』は2018年4月6日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国で公開!
脚本・監督:三浦大輔
原作:石田衣良「娼年」(集英社文庫刊)
出演:松坂桃李、真飛聖、冨手麻妙、猪塚健太、桜井ユキ、小柳友、馬渕英里何、荻野友里、佐々木心音、大谷麻衣、階戸瑠李、西岡德馬/江波杏子
配給:ファントム・フィルム
©石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会