今回行われたイベントには、本作のマーク・ウェブ監督が昨年来日した際に対談を行ったクラムボンのmitoが登壇。ミュージシャンとして活躍し、劇場アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』の劇伴も手掛け、さらに本作に対して「自身が生きた20代、30代、40代を振り返り、そして未来の50代を思い描くとして、人生のスペクタクルは如何に予測不可能でいて、パッションに溢れているかを教えてくれる映画だった。こんな映画があるから、僕はまだ生きることに意欲的になれる」と絶賛のコメントを寄せているmitoが、本作を様々な角度から語った。
これまでのマーク・ウェブ監督作品を観てきたmitoは、マーク監督が“10年以上の歳月をかけて作った”という本作について率直な感想として「ずいぶんと感じが変わった」と語り、その理由について「音楽の使い方が、今までは(舞台に対して)補完するところがあったんですけど、今回は曲(自体)がテーマとなっている」とコメント。本作は、原題がサイモン&ガーファンクルの「The Only Living Boy in New York」であると同時に、劇中歌としてもサイモン&ガーファンクルやボブ・ディランらの名曲が印象的に使われている。
マーク監督は、自身の大ヒット作『(500)日のサマー』よりも以前に本作の脚本と出会ったというが、mitoは「もう一回観たくなる」と言い、さらに「もうちょっと噛み砕いてみたら、見え方が変わるんじゃないか」と、マーク監督の本作への思い入れの深さを窺わせた。
音楽については「かなり静か」とこれまでのマーク監督作品との違いを明かし、さらに「音量のレベルがものすごく考えてある」とそのこだわりについて語った。また、本作でさまざまな名曲が使われていることについて、「(自身が劇伴を手掛けた)『心に叫びたがってるんだ。』で、『悲愴』(ベートーヴェン)と『オーバー・ザ・レインボー』を使った。(金額的に)結構シビアだったりする」と明かし、会場の笑いを誘った。
さらにmitoは、マーク監督について「ニットとメジャーの境をキレイに渡り歩いている人。それを一緒くたにできる。これはこれ、あれはあれと分けている人も好きだけど、一緒になっているのも好き。彼は両方知っているからできるんじゃないか」と、今後のマーク監督作品への期待が高まっている様子を語った。最後に「思慮深いセリフもあり、もう一回見ようという作品」と本作をアピールした。
ニューヨークを舞台にサイモン&ガーファンクルの名曲「The Only Living Boy in New York」にのせて贈る大人のロマンティック・ラブストーリーである本作。大学卒業を機に親元を離れた主人公は、同じアパートに住む小説家の男と出会い、人生のアドバイスを受ける。ある日、父とその愛人の密会を目撃したことから、思わぬ事態に―。主人公を演じるのはカラム・ターナー、出版社を経営する父親をピアース・ブロスナン、母親をシンシア・ニクソンが演じる。そしてメガホンを取るのはマーク・ウェブ監督。
【取材・写真・文/編集部】
映画『さよなら、僕のマンハッタン』は2018年4月14日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国で公開!
監督:マーク・ウェブ
出演:カラム・ターナー、ケイト・ベッキンセール、ピアース・ブロスナン、シンシア・ニクソン、ジェフ・ブリッジス、カーシー・クレモンズ
配給:ロングライド
© 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC