主演の舘は、本作のオファーがあった際に、そのタイトルを聞いて「私自身が終わりに近いので、“やりたくないな”と思った(笑)」と笑いを誘いつつ振り返ったものの「脚本をいただいたらコミカルに描かれていて、“これはおもしろい”と思ってやらせていただきました」と明かした。黒木も「どんなものが書かれているんだろう」と興味津々だったようで、舘と夫婦役を演じることについては「20代からご一緒していて、長年連れ添った夫婦(という役)は私にしかできないだろうという自負で挑みました」と自信を見せた。
「自分が小さいころに憧れていた人とご一緒して、久々に緊張した」と明かした広末は、そんな二人のキャスティングについて「お二人が美しすぎて、こんな夫婦は現実にはいないから、だろうなるんだろうと思ったくらい」と振り返った。
また、ホラー映画の印象が強い中田監督だが、「もともとメロドラマとか、男女の話が好き」と明かし、主演を務めた舘については「すごくキュート」と笑顔を見せた。そんな中田監督に、舘は「中田監督は乗せるのがうまいんですよ」と苦笑い。撮影現場については「アドリブとかをやらせていただいて、楽しい撮影でした」と語った。
「定年って生前葬だな」というキャッチーなセリフが話題にもなる本作だが、“定年”がない俳優の舘は、「100歳になる頃には何をしていると思いますか?」という問いに「死んでます」と即答。これには会場も笑いに包まれて、さらに「(俳優は)そこまで持たないと思います」と答えた。また、自身の“生前葬”について聞かれると「考えたことないよ!(笑)」と笑って返し、続けて「ただ、してもいいかな、いっぱい香典がもらえるなら」と笑いを誘った。
本作は、高度成長期を仕事一筋で駆け抜けたサラリーマンが、新たな生きがいを求め、第二のキャリアを築くために、戸惑い、足掻き、奮闘していくその姿と出会う様々な人とのつながりを、優しさ溢れる空気感と等身大の人間模様で綴った定年コメディ。主人公・田代壮介役を舘ひろし、かつての輝きを失った夫と向き合えない美容師の妻・田代千草役を黒木瞳、壮介が密かに想いを寄せるカルチャースクールの受付嬢・浜田久里役を広末涼子、すれ違う両親の姿を見守っていく娘・山崎道子役を臼田あさ美、壮介の人生の転機となる新興IT企業社長・鈴木直人役を映画初出演の今井翼が演じる。メガホンを取るのは本作が初の人間喜劇となる中田秀夫監督。
【取材・写真・文/編集部】
映画『終わった人』は2018年6月9日(土)より全国で公開!
監督:中田秀夫
原作:内館牧子「終わった人」(講談社刊)
出演:舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、ベンガル、清水ミチコ、温水洋一/高畑淳子、岩崎加根子、渡辺哲、田口トモロヲ、笹野高史
配給:東映
©2018「終わった人」製作委員会