公式上映では約9分に渡るスタンディングオベーションが起こり、海外メディアからも賛辞が飛び交うなど高評価を得ていた本作。この日行われた授賞式では、ケイト・ブランシェットをはじめ、エイヴァ・デュヴァーネイ監督、クリステン・スチュワート、レア・セドゥ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ら審査員団が選ぶパルムドールに選ばれたことが発表された。カンヌ国際映画祭において日本映画が同賞を受賞するのは、1997年の第50回カンヌ国際映画祭で今村昌平監督作品『うなぎ』が受賞して以来21年振り、カンヌのコンペにて日本映画が受賞するのは是枝監督の『そして父になる』以来5年振りとなる。
壇上で是枝監督は、「さすがに足が震えています。この場にいられることが本当に幸せです。そしてこの映画祭に参加するといつも思いますが、映画をつくり続けていく勇気をもらいます。そして、対立している人と人を、隔てられている世界と世界を映画が繋ぐ力をもつのではないかという希望を感じます。今回みなさんにいただいた勇気と希望をまず一足早く戻ったスタッフとキャストに分かち合いたいですし、作品が選ばれたにも関わらず、ここに参加できなかったふたりの監督たちとも分かち合いたいですし、これから映画をつくり、ここを目指す若い映画の作り手たちとも分かち合いたいと思います。ありがとうございます。」とスピーチ。
また、授賞式に引き続き行われた記者会見で、審査委員長のケイト・ブランシェットは「この作品は演技、監督、撮影、など総合的に素晴らしかった。選ぶにあたって気に入っていた作品を落とさないといけないのはつらかったし、
難しかったけど最終的に私たちは意見が合致したの。『万引き家族』はとにかく素晴らしかったわ」と本作の受賞についてコメント。審査員のドゥニ・ヴィルヌーブ監督は「この作品は私たちに深い感動を与えてくれました。とにかく恋に落ちてしまった。上品で素晴らしくとても深い。魂をわし掴みにされた」と本作を絶賛した。
改めて授賞式を振り返った是枝監督は「めずらしく緊張していたので、とりあえず通訳している間にしゃべることを考えていました」と明かし、授賞結果が次々と発表される中で「気が付いたらグランプリとパルムドールしか残っていなかった。残っている監督が誰かもはっきりわからなくなっていて、でも周りがザワザワしてきたので、不安な気持ちもありつつという感じでした」と現地の雰囲気も感じさせるコメント。
是枝監督は「この賞をもらった監督として恥ずかしくない作品をまたつくらなければならないなという覚悟を新たにしています」とし、「今回の作品のカンヌでの認知と受賞によって、“家族”ドラマの作家だという風な捉え方がまたますます強くなってしまうかもしれませんけど、自分ではそうは思っていないので様々なジャンルにチャレンジできればなと思っています」と他ジャンルへの挑戦も窺わせた。
また、授賞式後に是枝監督が「LINEでやり取りをしていた」という既に帰国済みのキャストからコメントが到着した。
リリー・フランキー
監督、本当に本当におめでとうございます!
獲ると信じていましたが、現実になると驚きと感動でじんましんが出ました(実話)。
監督、めちゃくちゃカッコいいです!
安藤サクラ
やったー!本当におめでとうございます!!
こんな特別な瞬間を共有できること、こころから嬉しく思います!
万歳!
松岡茉優
あの家族はいたのだと肯定してもらったようで嬉しいです。
思い出をいつまでも愛しています。
樹木希林
往きの飛行機の避雷針が雷を受けました。
異様な響きと共に私の座席の天井が破け、酸素マスクや破片やゴミや、バラバラッと落ちて来ました。
「是枝さんもうくす玉が割れちゃったから賞はおしまい」-----の筈がめでたいことです。
城桧吏
是枝監督、関係者のみなさま
「パルムドール」受賞、本当におめでとうございます!
「万引き家族」という作品に出演できて、改めてとても嬉しい気持ちです。
監督と家族6人でカンヌへ行けて、一生の思い出になりました。
本当にありがとうございました。
佐々木みゆ
やったーーー!!!!!!!!
かんとくおめでとうございます!
みんなでさつえいがんばったから 、とってもうれしいです。はやくかぞくのみんなにあいたいです!
様々な“家族のかたち”を描き続けてきた是枝裕和監督の最新作は、この10年間考えてきたことを全部込めたと語る渾身作。東京の下町で質素に暮らす家族は、生計を立てるために家族ぐるみで軽犯罪を重ねていた。犯罪でしか繋がれなかった家族の“許されない絆”が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎える。万引きを重ねる父・治をリリー・フランキー、妻・信代を安藤サクラ、さらに松岡茉優、樹木希林、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、緒方直人、森口瑤子ら実力派俳優たちが集結。真の“つながり”とは何かを問う、心揺さぶる衝撃の感動作に仕上げた。
映画『万引き家族』は2018年6月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ
松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ
緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美/柄本明
高良健吾、池脇千鶴/樹木希林
配給:ギャガ
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.