5月8日~19日[現地時間]に行われた第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された『万引き家族』が最高賞のパルムドールを受賞。日本人監督のパルムドール受賞は、1997年の今村昌平監督の『うなぎ』以来、21年ぶりの快挙となる。また、是枝監督作品としては『海街diary』以来3年ぶり5回目のコンペティション部門出品で初のパルムドール受賞となった。
この日帰国したばかりの是枝監督は「ここに帰ってきて、スタッフのにこやかな顔を見たらちょっと実感が沸いてきました」と笑顔を浮かべつつも、日本での公開が6月8日に迫っていることから「緩んだ笑顔を見せてる場合でもない」と気を引き締め直す場面もあった。しかし、遅い時間にもかかわらず多く集まった報道陣を見て「これだけ記者が集まっているということが大きな賞なんだと思います」と笑顔を見せた。
今回受賞してからニューヨークで打ち合わせをして、日本への帰国となった是枝監督。ニューヨークでの打ち合わせの内容は「差支えがあってしゃべれないんです(笑)」とはぐらかし、「こんなこと(パルムドール受賞)になるなんて思っていなかったので、直後にアメリカにわたる予定を入れてしまいました」と受賞から仕事続きになった理由を明かしつつも、「パルムドールのこともご存知でしたので獲ってよかった」と笑いを誘った。
カンヌ国際映画祭からニューヨークを経由し、長期間日本を留守にしていたが、「今シャワーを浴びて一息ついたので、LINEとメールが山ほどたまっているので、お礼の一言は返したい」と語った。また、受賞後は「ニューヨークにもっていくには重すぎる」ということでトロフィーはスタッフに預けていたということだが「僕が持って帰っていいのかこれから相談します。一晩くらいは抱いて寝たい」と笑いを誘った。
授賞式後のディナーでは、審査員と受賞者が席を共にする場面もあったようで、その席で「審査委員長のケイト・ブランシェットさんが安藤サクラさんのお芝居について熱く熱く語っていました。それくらい審査員を虜にした。チャン・チェンさんとは面識がありますが、花火のシーンが素晴らしかったと撮影を褒めてくれました。心が動かされたという感想をみんなが聞かせてくれて、とてもいい時間でした」と振り返った。
最後に是枝監督は「どの瞬間でも、みんあが相手のお芝居を受けられる。監督としては恵まれた環境で撮れたのが大きかった。まずは役者さんの芝居を見てもらいたいです」と本作をアピールした。
また、パルムドール受賞による反響で、「早く観たい」という声に答える形で、急きょ公開前週の2日(土)・3日(日)に本作の上映館にて先行上映が行われることが決定した。
様々な“家族のかたち”を描き続けてきた是枝裕和監督の最新作は、この10年間考えてきたことを全部込めたと語る渾身作。東京の下町で質素に暮らす家族は、生計を立てるために家族ぐるみで軽犯罪を重ねていた。犯罪でしか繋がれなかった家族の“許されない絆”が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎える。万引きを重ねる父・治をリリー・フランキー、妻・信代を安藤サクラ、さらに松岡茉優、樹木希林、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、緒方直人、森口瑤子ら実力派俳優たちが集結。真の“つながり”とは何かを問う、心揺さぶる衝撃の感動作に仕上げた。
【取材・写真・文/編集部】
映画『万引き家族』は2018年6月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ
松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ
緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美/柄本明
高良健吾、池脇千鶴/樹木希林
配給:ギャガ
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