大好きな日本を舞台にした渾身の作品となる本作を引っ提げて13年ぶりに来日したウェス・アンダーソン監督、そして主役に大抜擢された期待の新星子役のコーユー・ランキン、さらに友人としてアンダーソン監督の長年の夢を支え続けた野村訓市が登壇した今回の舞台挨拶。
アンダーソン監督は「この映画を作るために約6年間も作品に費やしたんだ。世界中のどこよりも、今、日本のこの六本木ヒルズの映画館でみんなと過ごしていることがすごく嬉しいよ。そして一緒に映画を作り上げてきたクン(野村訓市)、コーユーといった素晴らしいコラボレーターとここにいれることが幸せだ」と挨拶。ランキンは劇中の口笛を披露してから「ウェス監督とは3年前、8歳の時のレコーディングの時に初めて会いました。とても優しくて面白くて落ち着いている人で、そんな監督の映画に参加できたことは今でも素敵な思い出だなと思っています」と喜びを見せた。野村は「雪だるま式に増えていった仕事が今日終わるので、すがすがしい気持ちです(笑)」と笑いを交えて挨拶する場面もあった。
豪華キャストが話題となっている本作だが、「最初にキャスティングしたのがブライアン(・クランストン)だったよ。彼とは初めての仕事でチーフ役をオファーしたんだけど、本当に素晴らしい声だった。ほかのみんなはかつて僕の作品にも出演してくれていて付き合いの長い友人たち。そして、クンは小林市長のはずじゃなかったんだけど、低くて印象に残る悪役の声は彼しかいないと思って残すことに決めたんだ」と明かし、それぞれのキャラクターが吹き替えキャストに似ていることについて「すべてのパペットは声を当てたキャストに影響されていると思うよ。人間のキャラクターの声も、あの人に似ているって思いながら観てくれるといいな」とコメントした。
観客から寄せられた質問に答える場面では、「テーマカラーはどこからインスピレーションを受けていますか?」と言う質問に、「通常は撮影前からカラーチャートを作って色を決めているんだよ。でもこの映画は全シーン通して、ゴミが多くて、空の色も暗くて、ハッピーな場所じゃないから、結果的にどんよりした色になってしまった。この映画のテーマカラーも、ゴミ色になってしまったなって思っているよ(笑)」と明かしたアンダーソン監督。
また、ランキンは「映画のなかでは人間と犬の愛情がとっても強い」と注目ポイントを挙げると、収録時の話になり「撮影ではオーディションだとおもってたら5時間収録して驚きました」と明かすランキン。アンダーソン監督は「本当はコーユーって決めていたんだけど伝えたくなかった。というのも、アタリは本来もうすこし年上の男の子が演じるはずの役だったんだ。その後もいろんな少年がオーディションをしたけれど、彼の8歳の声が、一番感情がこもっていて、一番心の打つ声だったんだよ」と明かし、ランキンは照れた様子を見せた。
最後にアンダーソン監督は「この映画はすでに世界各国で公開されているけど、日本の観客のみなさんが世界で一番100%この映画を理解してくれると思っているんだ」語り、「この映画の日本は僕の想像からできているミニチュアの日本だし、ちょっと慣れ親しんだものとは違うかもしれないけど、ぜひこんな日本にも行ってみたいなと思ってもらえることを祈っているよ」とメッセージを送り、野村は「日本人からすると背景のお酒のラベルから何からまで観たくなってしまうと思うけど、僕はウェスはあたたかくてとてもいいストーリーを書く人だと思っているので、アタリと犬の美しい話をまずは楽しんでいただければと思います。細かい部分は2回目、3回目で是非掘り起こしてください」とコメントした。
全編にわたり日本を舞台に、失踪した愛犬を探す少年と犬たちの壮大な旅と冒険をストップモーション・アニメーションで描き出す本作。声優陣として、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、エドワード・ノートンらアンダーソン監督作品常連の豪華俳優陣に加え、スカーレット・ヨハンソン、グレタ・ガーウィグ、ブライアン・クランストン、ヨーコ・オノら多彩な才能が集結、さらに日本人ボイスキャストとしてRADWIMPS・野田洋次郎、夏木マリ、村上虹郎、渡辺謙らといった日本を代表する異色なキャスト陣も参加している。
映画『犬ヶ島』は全国で公開中!
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:ブライアン・クランストン、コーユー・ランキン、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、野村訓市、グレタ・ガーウィグ、フランシス・マクドーマンド、スカーレット・ヨハンソン、ヨーコ・オノ、ティルダ・スウィントン、野田洋次郎(RADWIMPS)、村上虹郎、渡辺謙、夏木マリ
配給:20世紀フォックス映画
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation