本作は、“アイドルの夢を諦めた、妄想好きのアラサー女性”沙織と、“自分を沙織の恋人だと思い込んでいる猫”良男の関係を描いた、ちょっと不思議なハートウォーミングな物語。本作が6年ぶりの主演となる沢尻エリカは、「犬童監督の作品にはいつか出演してみたかった」と出演オファーを即決。自分をうまく表現できず思うように生きられない30代女性のもどかしさを、繊細に表現している。猫の良男の擬人化した姿を演じるのは吉沢亮。メガホンをとるのは、繊細な恋愛ドラマから歴史大作まで幅広いジャンルで演出の冴えを見せてきた犬童一心監督。
本作で物語のキーマンとなる画家・ゴッホとして登場する、ロックバンド「銀杏BOYZ」でボーカル&ギターを務める峯田和伸。アーティストとして広く知られている峯田だが、近年は役者としての活躍も目覚ましく、連続テレビ小説「ひよっこ」(2017)ではザ・ビートルズをこよなく愛する、おかっぱ頭の“変なおじさん”を演じ、来年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019)への出演も決まっている。また本作公開後の7月から野島伸司脚本「高嶺の花」(日テレ)で民放連ドラの初レギュラーを務め、さらにアニメーション映画『ぼくの名前はズッキーニ』(2018)では吹き替え声優として主役を演じ、安藤裕子のMVでは何とあの金田一幸助を演じるなど多方面から引く手数多の存在となっている。
今回、犬童監督からオファーをもらった峯田は「胸が熱くなった」と静かに心境を吐露。解禁された場面写真は、売れない画家ゴッホが夢中で絵を描く姿を捉えた場面。ステージで歌う峯田の姿とも重なり、強烈なエネルギーを発している写真ばかりだ。絵の具で汚れた姿でロックな雰囲気も増しており、本作では峯田自身の特性が遺憾なく発揮されているのがわかる。
また犬童監督が銀杏BOYZのライヴに行った際に峯田がステージ上で語った話を、監督はとても気に入り、そのまま劇中のセリフとして使用した。それが「部屋に一人でいて、誰からも連絡がこなくて、ベッドに横になっていると外から聞こえてくる、笑い声に耳をふさいだりして。窓から見上げた空が青空だとうんざりして・・・思いっきりカーテンを閉めた気持ちも分かる」というもので、これ以外にも主人公の沙織や観ている我々の心に刺さるセリフを放っている。
舞台をライブからスクリーン、相棒をギターから筆に持ち替えた峯田の表現者としての才能と人間味に溢れた本作は、アーティスト・峯田和伸のファンも役者・峯田和伸のファンも必見だ。
映画『猫は抱くもの』は2018年6月23日(土)より新宿ピカデリーほか全国で公開!
監督:犬童一心
原作:大山淳子「猫は抱くもの」(キノブックス刊)
出演:沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ/岩松了
配給:キノフィルムズ
©2018 『猫は抱くもの』製作委員会