ジャン=リュック・ゴダール監督作『中国女』の主演女優であり、ゴダールの2番目の妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説を映画化した本作。若くしてゴダールと出会い、そのミューズとなったアンヌ・ヴィアゼムスキーを演じるのはステイシー・マーティン。時代の寵児ジャン=リュック・ゴダールを演じるのは、ゴダールが牽引したヌーヴェルヴァーグから多大な影響を受けたとされるフィリップ・ガレルの息子ルイ・ガレル。監督は、『アーティスト』で第84回アカデミー賞(12)にて作品賞、監督賞をはじめとする5部門を受賞し、その才能を世界に知らしめたミシェル・アザナヴィシウス。
今日、6月14日は本作で映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダールを演じたルイ・ガレルの35歳のバースデー。ゴダールが牽引したヌーヴェルヴァーグから多大な影響を受けたとされる映画監督フィリップ・ガレルを父親に持ち、過去にセザール賞の最優秀新人男優賞も受賞した正統派フレンチイケメン俳優の彼が、今回は髪型までそっくりそのままゴダールになりきって体当たりで演じている。今回バースデーを記念して、“ゴダールの再来”とまで評されたほどそっくりな、ルイ・ガレル演じるゴダールの場面写真が解禁された。
ルイの起用理由について、ミシェル・アザナヴィシウス監督は「ルイは聡明でありながらコメディにも長けている。ルイのような笑いのセンスを持ちながら、非常に才能豊かで勤勉な役者が絶対に必要だった」と語っているが、ルイ自身はオファーに対し「クリスチャンが冒涜に身を落としていると感じることなく、どうやってキリストを演じることができるだろう?ぼくにとってはそれと同じで、ゴダールの崇拝者としてこの役は演じられないと思ったよ」と、自分にとって神に等しいゴダールを演じることをすぐには決断できなかったことを明かす。
しかし、監督と対話を重ね、本作は伝記映画ではなく人生の転換期と歴史上の転換期を同時に迎えた一人の映画製作者についての物語であること、そしてラブストーリーであるという趣旨を理解したルイは、脚本を読んで、最初の1ページから虜になったという。実際に演じたルイは、「彼の映画は全て観ている」と公言するほど大のゴダールファンであることが功を奏し、そのそっくりさに監督が「モノマネは望んでいない」と伝えるほどだった。
また、ミシェル監督は「読み合わせでちょっとでもルイが真似をすると、途端にとてもおもしろくなっちゃうんだ。しかも正直僕はそれが大好きだった。しばらくは抵抗したけど、そのうち観客が人物像を受け入れられるぐらいにゴダールを真似るのはアリにしようと思った」と、ついにそのそっくりな演技を受け入れたことも明かしている。
さらにミシェル監督はゴダールの髪型を再現するためにルイに毛を剃るよう説得したというが、ルイは昨年のカンヌ映画祭公式記者会見で「僕は『髪は僕にとってとても重要なんだ』と言ったんだけど、結局説得されてしまったよ(笑)これまでで一番力を注いだよ」と明かしている。アンヌ役のステイシー・マーティンも先日来日した際に、「彼が髪を剃ることを受け入れた瞬間から映画のピースがハマったんです。すごい勇気だと思います」とその役者魂をたたえた。正統派イケメン俳優でありながら、豊かな髪を捨ててまでゴダールになりきる役者魂をみせたルイ・ガレル。巨匠ゴダールを、一人の人間ジャン=リュック・ゴダールとして演じた彼の名演は絶対に見逃せない。
映画『グッバイ・ゴダール!』は2018年7月13日(金)より新宿ピカデリーほか全国で順次公開!
監督:ミシェル・アザナヴィシウス
原作:アンヌ・ヴィアゼムスキー「Un an après」(DU BOOKS刊)
出演:ルイ・ガレル、ステイシー・マーティン、ベレニス・ベジョ
配給:ギャガ
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