映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード 2nd Wave』が6月12日(火)にクランクアップを迎え、キャスト・監督からのコメントが到着した。

2005年に大杉漣さんを主演に迎え、定年後に突然サーフィンに目覚め種子島に移り住んだ中年男性の第二の人生を爽やかに描いた映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード』。それから13年後となる今年、キャスト・ストーリーも新たに、種子島でほぼ全編が撮影された本作。5月28日にクランクインした本作は、種子島での約2週間の撮影を経て、6月12日に鹿児島でクランクアップを迎えた。梅雨の季節と重なった撮影期間中は、現地の天気予報が連日雨続きだったにもかかわらず、奇跡的にほとんど雨の影響を受けることなく撮了。

クランクインの10日前から種子島入りした主演の吉沢悠は、すっかり陽に焼けて島民のような顔つき。島の生活に慣れ親しむ中で地元のサーファーたちとも交流を深め、今では島内の波乗りポイントもかなりディープなところまで把握している。もともと趣味でサーフィンを嗜んでいた吉沢だが、今回は全日本選手権で優勝したほどの腕前を持つサーファー・梅原光太郎役ということで、事前に千葉や伊豆でも合宿練習を積みテクニックに磨きをかけた。しかしそれ以上に、種子島へ来て同じようにサーフィンを愛する仲間たちと出会い、サーフィンを「楽しむ」感覚を取り戻せたことが何よりも大きかったという。
 
ほぼ全編種子島が舞台となっている本作には地元に実在するスポットがたくさん登場する。地域に根づいているものはそのまま使うのが喜多監督のポリシーとあって、ロケーションはできるだけ手を入れずに生かされている。馬場ふみか演じる美夏の実家「オリジン」は同名のサーフショップで、本編に出てくる猫の「なさけ」も実際にここの飼い猫だ。目の前に鉄浜海岸を臨むカフェ「イースト・コースト」では、オーナー役の香里奈が明るくポジティブな存在感を放ち、華やかなムードに包まれる。また、地元の病院長役の竹中直人は、現場入りするなり光太郎を送り出す壮行会のシーンでユニークな竹中節を炸裂させた。ちなみに吉沢と泉谷が隣り合ってちゃんぽんをすする店は、創業50年以上、地元民に愛される「あやの食堂」である。

撮影も終盤に近づき、西之表港で撮られたフェリー出航のシーンは、不安定な空模様や時間のリミットもあって現場にもいつになく緊張感が漂う。しかし地元から参加してくれたエキストラ300人と吹奏楽部の協力を得て無事に撮りきることができた。大勢の島民たちに見送られながら、フェリー内の階段を軽やかに駆け上がり手を振る吉沢の姿が眩しい、晴れやかな旅立ちとなった。こうして他の出演者たちが種子島で出番を終えた後、最後に残った吉沢のシーンを鹿児島で撮って、すべての撮影は終了。吉沢は「大杉漣さんの魂を引き継ぐプレッシャーとともに、光太郎としてどのようにこの映画に貢献できるかをずっと考えていましたが、皆さんの力のおかげでここまで無事に来られてホッとしています」と充実の日々を締めくくった。

吉沢悠(梅原光太郎役)コメント

サーフィンはもともと趣味でしたが、仕事となると役者として結果を出さなければいけないので、最初は嫌だなと思ったんです。でもあらためてきちんと向き合ってみたら今まで知らなかった魅力を再発見できた。それには種子島で出会ったサーファー仲間の存在が大きいかもしれません。この作品を通してその楽しさを伝えられたらいいなと思います。

馬場ふみか(工藤美夏役)コメント

二週間ほど種子島にいましたが、毎日がハッピーで、撮影で来ていることを忘れてしまいそうなぐらいでした。地元の方と接する機会も多かったのですが、よそから来ても優しく包み込んで迎え入れてくれるような温かさがありました。島の人は女性が強いと聞いたので、美夏はその血を受け継いでいるんじゃないかなと思います。

香里奈(南田沙織役)コメント

沙織はみんなを客観的に見ている役なので、現場でもそんな距離感でいようと思いました。喜多監督がその場の雰囲気を大事にしてくれたので自由にやらせてもらった感じです。以前プライベートで種子島を訪れたときにお世話になった方と、今回演じた役のお店の店長さんが友達だったりして、人と人とのつながりを感じられる撮影になりました。

泉谷しげる(安田玄十郎役)コメント

自分にサーフィンシーンがあると知って最初は焦りましたね。でもみんながやっているのに自分ができないと腹が立つ。吉沢君にもいろいろ教わったんですけど、あいつがまた教えるのが上手くて、だんだんその気になってくるんですよ。こうなったら俺も東京オリンピックを目指そうかな(笑)。いくつになってもトライする気持ちが大事だからね。

竹中直人(田上孝一役)コメント

喜多組は穏やかなムードが出来上がっていて、そこに途中から入るのはすごく緊張したんですけど、吉沢君が爽やかな好青年なので一緒にいると柔らかい気持ちになりました。自分の監督作『サヨナラCOLOR』(2005)でも医者の役を演じたからその頃を思い出したりもしましたね。種子島は初めてでしたが、島にたどり着くというのはやっぱりロマンがありますね。

喜多一郎監督 コメント

僕の映画では、登場人物がいかにその土地に馴染んで見えるかが勝負ポイントなので、俳優たちがちゃんと島に溶け込んでいるかどうかが見どころです。天候にも恵まれ、サーファーがベストな波を求めて動くように撮影できましたね。サーフィンも人生もバランスとタイミング。あきらめずに挑戦し続ける勇気を受け取ってもらえたらと思います。

梅原光太郎(吉沢悠)はサーファーとして一流の腕を持ちながら、いい波を見ると仕事も約束も放り出してしまうその性格が災いして、湘南でその日暮らしを送っていた。ある日、とうとう彼女にも愛想を尽かされ、住んでいたアパートを追い出されることになり、かつて自分を愛弟子のように可愛がってくれたサーファー工藤銀二を頼って鹿児島県種子島にやってくる。ところが頼りのサーフショップでは銀二はすでに亡くなっており、出迎えてくれたのはその娘、工藤美夏(馬場ふみか)。今はひとりでお店を切り盛りする美夏は、無一文の光太郎を邪険に追い返そうとする。当てもないまま、何とか美夏に鉄浜海岸まで送ってもらう光太郎だったが、そこには、サーファーにとって最高の波が日々訪れる美しい海が広がっていた・・・。一度は夢を諦めた男が、サーフィンを通して自分自身と向き合いながら再び立ち上がっていく姿と、それを取り巻く人々の優しさに彩られた再生の物語。

映画『ライフ・オン・ザ・ロングボード 2nd Wave』は2019年春に全国で公開!
監督:喜多一郎
出演:吉沢悠、馬場ふみか、香里奈、立石ケン・大方斐紗子、泉谷しげる、松原奈佑、南美沙、森高愛、TEE、角田信朗、勝野洋/榎木孝明(特別出演)/竹中直人
©2018『Life on the Longboard 2ndWave』製作委員会