今回、本作『君が君で君だ』が6月16日(土)より開催中の第21回上海国際映画祭GALA部門で上映された。上海国際映画祭は、会期中に国内外約500作品が上映されるアジア圏最大規模の映画祭。この日行われた上映は、上海最大級1,200人超の座席数を誇る「SFC Shanghai Cinema Hall 1」にて行われた。チケットは発売10分で即完となり、会場は満席。上映中は、笑いも起き、盛り上がりを見せ、そして終盤にかけて真剣な空気で包まれていった。エンドロールに入った途端、鳴りはじめる拍手の中で、池松と松居監督が登場すると割れんばかりの黄色い声で会場内の熱が一気に上がった。
松居監督が「みなさんこんにちは、松居大悟です。今日はどうもありがとうございます」と中国語で挨拶。池松は「こうして上海まで来たのですが、僕が伝えたいことは映画に込めたので、特に言いたいことは無いのですが、なぜ上海まで来たのかというと、上海に来ると、上海ガニを食べさせてくれるということで来ました(笑)」と池松節で会場の笑いを誘った。
作品ついて、松居監督は「この映画をつくるのに7年間かかったのですが、いわゆる人を好きになって、相手も好きになるという、当たり前の愛ではない、愛のかたちを描きたかった」とコメント。“チャレンジしたことは?”という質問に池松は「人毛(髪の毛)を食べたこと。それがいちばんきつかった」と振り返り、会場は笑いと興奮が入りまじり大盛り上がりとなった。
続けてティーチインでは、司会者が質問を求めると一斉に手が上がった。来場者から「映画の内容に関すること」や「この愛の異質さ」を尋ねるものなど数々の質問が寄せられた。劇中でキャストたちが歌っている尾崎豊の「僕が僕であるために」について聞かれた松居監督は「この映画は、“君が好きだと気づく以前の気持ち”を大事にしたいと思って作りました。“僕が僕であるために”は尾崎豊が愛情の在り方を歌っているような曲だと思っていますので、それを彼らに歌っていただきました。」と答えた。
さらに、メディア取材では、作品で描かれている恋愛観について聞かれた池松は「この恋愛に対して、あのようなことはしたことはないけれど、かすかに身に覚えがある」と答え、さらに松居監督について「松居監督は舞台もしている。普通の映画現場よりも長く、稽古を行なう。俳優から湧き上がってきたことをもとに、言葉が多いタイプではないけれど、強い言葉を投げかけてくれる。これまで何本も一緒に作品を作ってきたので、ある程度通じ合えている関係性だと思う。その中で今回は、言葉がなくても通じ合えていたのかもしれない。松居監督は“言葉になる前の何か”を、映画を通して、毎作品かたちにしている人。映画を通して、愛という言葉に疑念を持ちながらも探していく。映画を作ることへの希望を感じている」と答えた。
本作は、好きな女の子の好きな人になりきって、自分を捨て去り、10年間彼女を見守ってきた3人の男たちの愛の結末を描いた恋愛譚。日本の伝説のロックシンガー「尾崎豊」になりきるのは池松壮亮。ハリウッド俳優「ブラッド・ピット」になりきるのは満島真之介。さらに、日本の歴史を大きく変えた人物「坂本龍馬」になりきるのは大倉孝二。ヒロインを務めるのは、『息もできない』での演技で世界中の注目を集め、多くの熱烈なファンを持つ韓国人女優キム・コッピ。
映画『君が君で君だ』は2018年7月7日(土)より全国で公開!
監督・原作・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮、キム・コッピ、満島真之介、大倉孝二、髙杉真宙/中村映里子、山田真歩/光石研(特別出演)、向井理/YOU
配給:ティ・ジョイ
©2018「君が君で君だ」製作委員会