冒頭から、二人の関係について「この共演から始まって、これが最後です」と冗談を交えて笑いを誘う吉川。それにすかさず「違うから!(笑)前にもドラマでご一緒させていただいて、この作品でどっぷりと二人で一緒にいました」と否定し、さらに本作では二人の共演シーンが多かったことを明かした上地。これには吉川も「本当に(一緒に)いたよね」としみじみと振り返った。
劇中ではほとんどセリフがないという吉川は、動きも少なく、その分普段とは違う表現方法で臨まなければいけない難しさがあったといい、「筋肉トレーニングがなっていないと所作にならない。撮影の合間もずっと稽古が入っていたので体力勝負でした」と振り返った。そんな吉川とは反対に、多くのセリフを請け負った上地は「いつもはマーカーしたり、ページを折ったりするけど、今回は意味がないと思って途中でやめました」というほどのセリフ量だったという。
撮影でも二人のチームワークの良さは発揮されていたようで、セリフが多く苦労していた上地だが、そのシーンをやりとげた時に、吉川が背中を向けたまま親指を立てて“良かったよ”というポーズをしてくれたことが嬉しかったというが、当の本人の吉川は「また間違えたよ、また帰るの遅れるじゃないか(という意味)」と返し、「そんな風に思ってたんだ!」とまさかの(!?)意味が判明し落胆。これには会場も大爆笑となった。
劇中では流鏑馬も披露しているという吉川だが、その撮影も自身がトレーニングを積んで、自ら演じたようで「人にやってもらうならやらない」とポリシーを語ると、会場からはその心意気に歓声が起こった。しかし、その後吉川が「多くを語らずとも合う、テンポ感やリズム感がある。勝手にウマが合うと思っていた」と語ると、上地は「“流鏑馬”からの“ウマが合う”がおやじギャグに聞こえました」とコメントし、会場の笑いを誘った。
また、吉川は本作のような時代劇について「過去の背景を借りることでばっちりハマることがある。時代劇だからこそしなやかに流れてくれる。今じゃない、ここじゃないどこか、それだけでワクワクするもにに変えられる。だから時代劇が好きです」と語った。
巨匠・浅⽥次郎による⽇本経済新聞連載の時代⼩説をドラマ化した本作。江⼾城無⾎開城の史実をベースに、時代の波に取り残されそうになりながらも、⾃らの信義を通し⼀切⼝を利かぬまま江⼾城内に居座り続ける将軍直属の御書院番⼠・的⽮六兵衛と、官軍側に付いた尾張藩から遣わされ六兵衛排除の任を負ってしまった下級藩⼠・加倉井隼⼈との交情を熱く描く。体制のリーダーではなく、瀬⼾際の現場で⾝を尽くす2⼈の姿にこそ、⼤きな時代の節⽬を迎えた今、世相や組織の空気に翻弄されながらも、できれば平和に真っすぐに⽣きたいと願う⼤多数の⽇本⼈の深い共感が集まることだろう。
【取材・写真・文/編集部】
「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」は2018年7月22日(日)よりWOWOWプライムにて放送!
毎週日曜日22:00より放送(全6話)※第1話無料放送
監督:李闘士男
原作:浅田次郎「黒書院の六兵衛」(文春文庫刊)
出演:吉川晃司/上地雄輔/芦名星、寺島進、竹内力、千葉哲也、波岡一喜/山崎銀之丞、駒木根隆介、前田亜季、忍成修吾、片岡千之助、粕谷吉洋/若村麻由美/伊武雅刀/田中泯