この日の上映後に登壇した主演の東出昌大と、出会ったことで「180度考えが変わった」「芝居は生ものだと改めて感じた」と東出が話す濱口竜介監督が登壇。鑑賞し終えたばかりのお客さんとのティーチインも行われるなどイベントを盛り上げた。
この日、観客とともに本作を鑑賞したという東出は、今回が3度目の鑑賞だったことを明かし、「今日が一番心に響いた」と語った。そんな東出は、劇中で一人二役を演じているが、観客からは“どちらの役に思い入れがありましたか?”という質問が寄せられ、「演じていて好きだったのは亮平」と明かすなど、素直な気持ちを表現した。
また、朝子(唐田えりか)の“ドキッとする仕草は?”と言う質問に「ちょっと考えます(笑)」と真剣に悩む東出。濱口監督は「脚をもんでいるとき」と答えると観客からは笑いと歓声が寄せられた。また、東出は「マンションの一室が本当に同棲している男女の空気感だった」と唐田との撮影を振り返り、「素直さが新鮮に思いました」と唐田の演技を称賛する場面もあった。
さらに“自分のそっくりさんに会ったことはありますか?”と言う質問には「『この前歩いてたでしょ?』と言われたことがあるので、ドッペルゲンガーはいると思います。でも、会ったら死ぬらしいので怖いですね。黒沢清監督の『ドッペルゲンガー』をお勧めします」と答え、会場の笑いを誘った。
最後に濱口監督は「こんなに質問がどんどん出るのは珍しい」と自身でも驚いている様子で、「届いているんだと実感しています。人によって受け止め方が違うので、ぜひコミュニケーションの道具として使っていただけたら嬉しい」とメッセージを送り、東出は「自分で出ておきながら、今日観て傑作だなと思っちゃいました。こういう映画に出続けたいと思います。これからもがんばりますし、(本作が)公開している間は大きなスクリーンで、みんなの生き生きとした顔を観ていただければと思います」と本作をアピールした。
惹かれあう亮平と朝子―。朝子がかつて運命的な恋に落ちた恋人・麦と、亮平は顔がそっくりだった―。本作は、二人の同じ顔をした男とその間で揺れ動く女の物語。主演・東出昌大が、同じ顔をしていながらもタイプの違う男・亮平と麦という一人二役に初めて挑み、唐田えりかがヒロイン・朝子を演じる。メガホンをとるのは、前作『ハッピーアワー』でその名を世界に轟かせた気鋭・濱口竜介監督。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、海外メディアに絶賛された。
【取材・写真・文/編集部】
映画『寝ても覚めても』は全国で公開中!
監督:濱口竜介
原作:柴崎友香「寝ても覚めても」(河出書房新社刊)
出演:東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知(黒猫チェルシー)/仲本工事/田中美佐子
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス
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