第31東京国際映画祭「コンペティション」部門上映作品『シレンズ・コール』の記者会見が10月30日(火)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、ラミン・マタン監督、デニズ・ジェリオウル、エズギ・チェリキ、エミネ・ユルドゥルム プロデューサーが登壇した。
世界109の国と地域から応募された1829本の長編映画の中から、厳正な予備審査を経た16本の作品を上映する「コンペティション」部門。カオスと偽善を生む出す巨大なコンクリートジャングルで、住民は我慢の限界を迎える中、疲れ切った建築家はスーツケースに荷物をまとめるが、イスタンブールを出ようと思っても街はそうそう簡単に彼を放してはくれない―。トルコの若手監督、ラミン・マタンが現代人のストレスをブラックに笑い飛ばす。
本作を作るきっかけを「もともとは街から逃れたいという考え方はトルコ、イスタンブールでは共通しているものだと思っていた」と語るラミン監督。本作では「それを掘り下げて、街を抜け出してうまくいくのかを探求したかった」と本作に込めた思いを語った。
イスタンブールから抜け出せない主人公タフシンを演じるデニズは「大都市に住んでいるというところでは似ていたし、精神的にもそう遠くはないキャラクター」と自身と役柄との共通点語ったが、「難しかったのはダメっぷりを表現しつつも、共感できるものがなければいけないと思った」と役作りへの思いを明かした。
劇中でタフシンの昔の友人シレンを演じたエズギは「都市から離れたい人はたくさんいて、私も昔はそうだった」と語ったが、自身が演じたシレンは「実際に行動を起こした」と語ったが、自身は田舎と都会どちらが好きかについては「悩んでいるので難しい」と明言を避けた。
また、エミネ プロデューサーは本作の大変だった部分を「全部大変でした」と即答。撮影するうえでは「嘘っぽく見えないようにリアルに撮影するのが難しかった」と振り返った。そのリアルさの追求に加えて「予算が限られていた」と語るラミン監督はバスの車内でのシーンも“ゲリラ的”に撮影したといい、「自分たちの周りを囲む人だけ採用している人」と明かし、さらにその人たちも「エキストラではなくてクルー」とあくまで少人数での撮影が行われていたことを明かした。
【取材・写真・文/編集部】
「第31回東京国際映画祭」は2018年10月25日(木)~11月3日(土・祝)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 ステップ広場ほかで開催!
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