安藤ゆきによる第20回手塚治虫文化賞受賞作を実写映画化した『町田くんの世界』6月7日(金)より公開されることが決定した。
別冊マーガレットで2015年から2018年まで連載されていた同名漫画を実写映画化した本作。今回、自身初となる漫画原作に挑むのは、自身も“例外的”と語るほど、これまでの監督のイメージとは一線を画するジャンルへのチャレンジとなる石井裕也監督。これまで人間をおかしくも、その本質を描いてきた監督が、新ジャンルでどのようなドラマを見せてくれるのか。本作では様々な新たな試みに挑戦しており、撮影ではデジタル全盛の時代に逆行する35mmフィルムで全編を撮影、その他常識に囚われない手法を取り入れている。
日本アカデミー賞受賞の若き実力派監督・石井裕也。2009年の商業デビュー作『川の底からこんにちは』では、第53回ブルーリボン賞監督賞を史上最年少で受賞。その後も様々な作品を世に送り出し、2013年公開の三浦しをんによるベストセラーを映画化した『舟を編む』では、第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞をW受賞する快挙を達成。さらに第86回アカデミー賞外国語映画部門の日本代表作品にも選出さるなど各映画賞を総なめ。2018年公開『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』では、第12回アジア・フィルム・アワードで名だたる監督達を抑え、監督賞を見事受賞。手掛けてきたほぼすべての作品が、海外の国際映画祭への招待や、数々の賞を受賞するなど、国内だけでなく海外にも多くのファンを持つ、いま最も新作が期待される若手実力派監督だ。
石井裕也(監督・脚本)コメント
人を好きになる気持ち、愛とかそういうものは、普通であれば恥ずかしくて口に出すのもはばかられますが、やはりどう考えても人間にとって必要なこと。それが今、本当にやるべき題材だと感じ、それをまったくてらいもなく、恥ずかしげもなくやってる“少女漫画原作の力”に僕も乗っかりたいと思いました。この作品では、本当に例外的なことをやりまくっています。まさか自分が少女漫画原作をやるとは思っていなかったので、逆に振り切れたというか、冒険的になれたし、映画的な自由を得られたんだと思います。
北島直明(プロデューサー)コメント
石井監督が作る少女漫画原作の映画を僕自身が観たかった。例えば、その材料を誰が調理するかで全然違う料理になるように、監督と話していると、【町田くんの世界】を映画として再構築したらどんなものが仕上がるのか、それが楽しみで仕方がありませんでした。
恋愛映画や、恋愛漫画って、『好き』とか『嫌い』とか、登場人物達が皆“恋愛を知っている”という前提で物語が進行していきます。ほとんどの作品が、【モテない子が急にモテるようになる】あるいは【三角関係になる】といったいくつかの基本フォーマットで物語が進んでいくのですが、どのキャラクターも『人を好きになる』という根本を深く考えていない事が多いんですよね。大人だって『好き』という感情を明確に説明できる人は少ないはずなのに、なぜか皆、『恋愛』は知っているんです。家族への好き、友達への好き、片思いの人への好き、恋人への好き、夫・妻への好き、子供への好き・・・違いを説明できますか?
【町田くんの世界】は『人を愛する事』はしっているのに、『好き』っていう事が分からない主人公・町田くんが、『好き』を学ぶ物語です。その過程で、恋愛を知っている“はず”の登場人物たちが、改めて、『好き』を学ぶ物語でもあります。兎にも角にも、絶対に予想できないラストシーンを用意しましたので、エンディングを観て、皆さんの『好き』が見つかってくれたら嬉しいです。石井監督の才能が爆発しています!
安藤ゆき(原作)コメント
一人の人間から生まれた小さな作品がたくさんの人が構築する大きな企画になっていくということは、わくわくする一方で不思議な気持ちでいっぱいです。この映画の関係者の一人になれたことを幸福に思います。
ストーリー
運動も勉強も苦手で、見た目も普通な町田くん。しかし、彼には困った人の事は絶対に見過ごさず、接した人みんなの世界を変えてしまう不思議な力が・・・?そんな町田くんに訪れた突然の出来事・・・。優しさに溢れていた“町田くんの世界”がひっくり返る。
映画『町田くんの世界』は2019年6月7日(金)より全国で公開!
監督・脚本:石井裕也
原作:安藤ゆき「町田くんの世界」(集英社マーガレットコミックス刊)
©安藤ゆき/集英社 ©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会