『ドント・ウォーリー』のティーチインイベントが2月19日(火)にヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、来日中のガス・ヴァン・サント監督と野村訓市が登壇した。
『ミルク』(2009)以来、約10年ぶりの来日を果たしたガス・ヴァン・サント監督。今回行われた日本最速上映会では、クリエイターの野村訓市とともに、見終わったばかりの観客へティーチインを行った。
オレゴン州ポートランド出身の風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を描いた本作。ガス・ヴァン・サント監督とは親交が深い野村は、「ガスと言えばポートランドだった」と触れつつも「この間家に行ったらあっさり“捨てた”って」と話し、ロサンゼルスに住み映画を撮ることについて尋ねると、「ポートランドで撮影するにはロサンゼルスの人たちにポートランドに来てもらわなければいけない。それだけでも理由になる」と明かし、「ロサンゼルスでやったほうが効率がいい」と語った。
本作の主人公であるジョン・キャラハンは、50紙以上で掲載されるほどの風刺漫画家だが、その人物について尋ねると、ヴァン・サント監督は「私がポートランドで映画を撮り始めたころ、ローカルな人物として知られるようになった。毒があるのでおもしろいけど、問題を起こしたり、気分を害したり、いろんな苦情が届いていたのを彼は喜んでいた」と語った。
もともと本作を映画化する権利は、ヴァン・サント監督の『グッド・ウィル・ハンティング』に出演したロビン・ウィリアムズが同作の後に買っていたといい、ウィリアムズから「監督をしないか」と声をかけられたことを明かしたヴァン・サント監督。その時は「ロビン・ウィリアムズが演じるならばうまくいくんじゃないかと思った」と振り返ったが、その後に出来上がった2つの脚本が映画化されることはなく、ヴァン・サント監督は「ジョン・キャラハンが『どうしたんだ?映画ができることには俺たち死んじゃうよ』って。そうしたら本当に(ジョン・キャラハンとロビン・ウィリアムズが)亡くなった」と振り返った。
観客からの“少年に向けた作品を作る予定は?『パラノイドパーク』のような”という質問に、「やるかどうか考えてる」とやんわりとした回答をし、「今書いているものは、パリのファッションウィークについて。少年と父親に関するものです。『パラノイドパーク』がファッションウィークに行くという話かな」と語り、会場を沸かせた。また、主演にホアキン・フェニックスをキャスティングした理由について問われると、「徹底的に入れ込んでくれる」と語った。
2014年に他界したロビン・ウィリアムズが『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1998)の公開時から映画化を考えていたのが、オレゴン州ポートランド出身の風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生。当時から監督にと相談を受けていたのはポートランドに縁のある監督ガス・ヴァン・サント。ウィリアムズの死後、映画化を決めたヴァン・サントが自ら脚本を書き、企画から20年たちついに完成した。当初キャラハンを演じることを熱望していたウィリアムズの遺志を受け継ぎ主人公キャラハンを演じたのはホアキン・フェニックス。彼の仕草、話し方等を研究し見事に演じきっている。ほかにルーニー・マーラ、ジョナ・ヒル、ジャック・ブラックがキャラハンの人生にやさしく寄り添い、世界に背を向けていた彼を支えていく周りの人々を演じている。
【取材・写真・文/編集部】
映画『ドント・ウォーリー』は2019年5月3日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で公開!
監督・脚本・編集:ガス・ヴァン・サント
出演:ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック
配給:東京テアトル
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