アカデミー賞受賞に「絶対取ると思っていた」という伊藤、ファレリー監督からはハリウッド進出へのアドバイスとエールも―『グリーンブック』記者会見にピーター・ファレリー監督＆伊藤健太郎登壇

『グリーンブック』の記者会見が3月5日（水）に都内で行われ、ピーター・ファレリー監督とゲストとして伊藤健太郎が登壇した。

2月25日［日本時間］に行われた第91回アカデミー賞授賞式で、作品賞、助演男優賞（マハーシャラ・アリ）、脚本賞の3部門を受賞した本作『グリーンブック』。今回行われた記者会見には、3日（日）に行われた舞台挨拶に続いて来日中のピーター・ファレリー監督が登壇、さらにゲストとして、第42回日本アカデミー賞で新人俳優賞と話題賞・俳優部門を受賞した伊藤健太郎が登壇。伊藤は本作について、作品賞と助演男優賞の受賞をプッシュしていた。

冒頭で「ありがとう」と日本語で挨拶をしたファレリー監督。今回が初来日となったファレリー監督だが、会見の前夜には青山で鉄板焼きを食べ、「最高のお食事をいただきました！」と笑顔を見せ、「これ以上のステーキは一生いただくことはない」というほど気に入っている様子だった。

ちょうど一週間前に行われた第91回アカデミー賞では見事3部門を受賞した『グリーンブック』だが、「やっと実感がわいてきたくらい」と明かし、「まさか一生のうちにオスカーを受賞するとは考えていなかった」と驚きを見せた。しかし、本作については「希望がある部分が響いたのだと思います」と分析した。

コメディ映画で知られるファレリー監督だが、「違うタイプの作品をいつかは作りたいと思っていた」と振り返りつつ、本作については「出会いは偶然で、ストーリーを目にしたときに、これは作らなければいけないと感じた」と明かした。また、今後については「（本作は）今まで手掛けてきた作品とは少し違う作品ですが、コメディも大好きなのでこれからも作っていくつもり」とさらなるコメディ映画製作への意欲を見せた。

また、作品の舞台となる60年代当時は“もっと人種差別が激しかった”という意見があることについては「より恐ろしいことがたくさんありました」と認めつつ、「（2人の）彼らの身に起きたこととを描いていて、あえて誇張していません」と明かし、「行く先々での偏見や差別的な場面はもちろんあり、取り入れています」とあくまで「彼らの経験をできるだけ描きたいと思った」と語った。

会見では俳優の伊藤健太郎が登壇。本作について「直感で、見ていて素敵だと思いました」と本作への思い入れを明かし、アカデミー賞作品賞を受賞したことについては「絶対とると思っていた。僕の中では何の不思議でもない」と本作を高く評価した。本作では2人が乗る車が象徴的に登場するが、自身も車が好きだという伊藤に、ファレリー監督は「実際に2人が旅で乗ったモデルを使っています。ただ本物は色が黒でした」と明かし、物語上の色彩設計で色がグリーンになったことを明かした。

さらに俳優として、日本で大活躍している伊藤だが、ファレリー監督は「あっという間にスーパースターになってどういう気持ちですか？」と逆に質問が寄せられ、これには伊藤も照れ笑いを浮かべ「自分でもびっくりしています（笑）追いついていないです」と明かした。

また、ハリウッド進出については「いつかは行ってみたいというのは役者をしている上での目標」と語る伊藤。そんな伊藤にファレリー監督は「伊藤さんはどこにいらしても素晴らしい仕事をするタイプだと思う。まずは行ってしまうことが重要。そしていつか一緒にお仕事をしてください」と返し、伊藤は「うれしいです。この言葉を忘れずに、日本でがんばっていつか行った時には、あの子時の言葉を忘れていないですよねって言います（笑）」と語った。

最後にファレリー監督は「初来日は素晴らしい体験でした。できるだけ早く日本に戻ってきたいです」と語り、「世界的にも厳しい時代で人種の問題はある。いつだって希望があると僕は信じています。話すことができれば希望は生まれると思います。話すことから始めなければどこにもいくことはできない」とメッセージを送った。

1962年、人種差別が色濃い時代。粗野で無教養だけれど人間的魅力に溢れるトニー・リップは口のうまさと機転の良さを買われ、ホワイトハウスでも演奏したこともある黒人天才ピアニスト、ドクター・シャーリーに、南部ツアーのための運転手兼用心棒として雇われる。偏見と差別が根強い南部でドクターが安全に旅をするために欠かせないもの、それは黒人が利用できる宿を記した旅行ガイドブック＜グリーンブック＞。トニー・リップ役をヴィゴ・モーテンセン、ドクター・シャーリー役をマハーシャラ・アリが演じる。

【取材・写真・文／編集部】

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