『麻雀放浪記2020』の完成披露イベントが3月20日(水)に新宿バルト9で行われ、斎藤工、もも(チャラン・ポ・ランタン)、ベッキー、竹中直人、白石和彌監督が登壇した。

この日午前に行われた会見で、3月12日に麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたピエール瀧が出演するシーンを含めてノーカットで公開することが発表された本作。今回行われた完成披露イベントでは、主演の斎藤工らが登壇し、本作の完成を報告。これまでに試写を行っていない本作だが、今回の舞台挨拶後にも本作は上映されずに別作品が上映されるという“本編上映がない”完成披露試写会となった。

「ピエールさんのことをニュースで聞いたときは租借ができなかった」と気持ちを明かした斎藤は「すぐに白石さんに連絡した」と振り返った。その白石監督は「このようなことを起こすとは思っていなかった。気づけなかったのは僕の不徳の致すところ」と悔しさをにじませつつも、「許すわけにはいかないけれど作品に罪はない」と公開することへの理解を求めた。

共演者であるももも「知ったときはビックリした。公開されると聞いてホッとしています」と素直な気持ちを明かし、ベッキーも「いろいろな覚悟をしました」、竹中は「知ったときは胸がえぐられる思いでした」とそれぞれの気持ちを語った。

これまでにも話題を振りまいてきた本作だが、全編iPhoneで撮ったことも特徴の一つで、「映画用のカメラで撮ると昭和っぽくなるのが悩みだった」と明かす白石監督。本作では「2020年に来るので」と映像を変えたかったということからiPhoneでの撮影に臨んだことを明かした。また、そのことで「回転ずしの目線で撮れたのが画期的」と明かした斎藤。

この日、しまうまの頭を片手に登壇したももだが、その理由について「しまうまと“いたす”役というのだけざっくり聞いた」とオファーがあったときのことを振り返った。詳細は語られなかったが、ももは「(自身と)割とリンクしてしまうところがある。何を言ってるかわからないけど、4月5日にわかることなのでお楽しみに」とコメントした。

また、10年の月日を経てやっと映画化へこぎつけた斎藤は「オリジナルである和田(誠監督)版の傑作を凌ぐという、どでかいものを掲げていると思う」とオリジナルを超えることへの難しさを明かしつつも、「嫉妬するような、凌駕するような形になったと思っています」と自身を見せた。

本作はマスコミを含めて試写が行われておらず、白石監督自身も「去年の8月にできて、もう一回見たいといっても見せてくれない」と明かし、「今一番見たい映画(笑)」とコメントし、会場の笑いを誘った。

阿佐田哲也による250万部を超えるベストセラー小説「麻雀放浪記」。イラストレーターの和田誠が初監督した『麻雀放浪記』(1984)から35年、主演・斎藤工が10年間、映画化を熱望してアプローチを続けていた本作に、いまの日本映画界を牽引している白石和彌監督が立ち向かった。主人公・坊や哲がいるのは、2020年の“未来”。人口が減少し、労働はAI(人工知能)に取って代わられ、街には失業者と老人があふれている。そしてそこは“東京オリンピック”が中止となった未来だった―。1945年の“戦後”からやってきたという坊や哲が見る驚愕の世界。その時、思わぬ状況で立ちはだかるゲーム“麻雀”での死闘とは―?

【取材・写真・文/編集部】


映画『麻雀放浪記2020』は2019年4月5日(金)より全国で公開!
監督:白石和彌
原案:阿佐田哲也「麻雀放浪記」(文春文庫刊)
出演:斎藤工、もも(チャラン・ポ・ランタン)、ベッキー、的場浩司、岡崎体育、ピエール瀧、音尾琢真、小松政夫/竹中直人
配給:東映
©2019「麻雀放浪記2020」製作委員会