『Fukushima 50』のクランクアップ記者会見が4月17日(水)に都内で行われ、佐藤浩市、渡辺謙が登壇した。
冒頭の挨拶で「人間は、忘れえなければ生きていけないことと、絶対に忘れてはいけないこと、その二つが生きていくうえで大事なこと。この映画は後者」とオファーを受けた時の気持ちを振り返り、「この映画を見た人がどういう思いを抱くか、それを大事に映画を進めてきました」と語る佐藤。渡辺は「この題材をやると伺ったときに、非常にハードルの高い作品になることは間違いないと思いました」と振り返った。
現場の様子を知るために、「読み物などで詰め込むことしかできなかった」と苦労を明かす佐藤。福島第一原発所長の吉田昌郎役の渡辺は、「非常にプレッシャーのかかる役でした。助けになったのは、当時吉田さんの近くでお仕事をされている方が、スタジオにお見えになっていることがあり、この局面ではどう対応したのか、テレビに映し出されていない吉田さんはどうなのかと聞かせていただき、参考にしながら役を作らせていただきました」と明かした。
また、同席した椿プロデューサーが「ここまで大掛かりに、正確に作ったものはない」というセットはとてもリアルに再現されており、中央制御室での撮影に挑んだ佐藤は「あの日、すぐに電源が落ちたので、暗い中での撮影になるんですけど、撮影が進む中でみんながやつれていく。リアルに再現していただいてありがたかったです」とリアリティの追及を明かした。
本作に挑むにあたって「原点に戻ったような感じ」と語る渡辺。そんな渡辺を「心配できる先輩。年は1歳ちか違わないけど、まったく違う風格が漂っていまして(笑)」とコメントする佐藤は、撮影現場ではなかなか会うことがなく、1か月ほど経ってから会った時には「顔を見てホッとした」と明かした。
また、水上プロデューサーは「日本映画の潮流のターニングポイントになるような作品を目指してポストプロダクション中です。後世に残さなければならない、伝えていかなければいけない作品に取り組むのが映画製作者の使命だと思っています。世界に発信させていただきたいので、海外公開も視野に入れています」と語った。
原作は、90人以上の関係者の取材をもとに綴られた門田隆将渾身のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災発生、そして福島第一原発事故。現場では何が起きていたのか?何が真実なのか?浮き彫りになる人間の強さと弱さ。死を覚悟して発電所内に残った職員たちは、いかにしてこの未曾有の大事故と戦い続けたのか―。福島第一原発1・2号機当直長の伊崎利夫役を佐藤浩市、福島第一原発所長の吉田昌郎役を渡辺謙が演じる。
【取材・写真・文/編集部】
映画『Fukushima 50』は2020年に全国で公開!
監督:若松節朗
原作:門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)
出演:佐藤浩市、渡辺謙
配給:松竹、KADOKAWA
© 2020『Fukushima 50』製作委員会