過酷な現実を懸命に生きるゼインの姿が胸を打つ―『CAPHARNAÜM(原題)』が『存在のない子供たち』の邦題で7月より公開されることが決定した。
両親を訴えたい。こんな世の中に僕を産んだから―。少年ゼインは自分の誕生日を知らない。中東の貧困、移民などの社会問題を描き、世界を揺るがした衝撃作。目をそらしたくなる貧困の生々しさの中で、必死に生きようとする彼らの強いまなざしやその歩みに胸を打たれずにはいられない。断ち切ることも抜け出すこともできず巻き込まれるしかなかったちいさな存在が起こすセンセーショナルな展開に感情を揺さぶられ、いまできることは何かと深く自身に問わずにはいられない衝撃作となっている。
メガホンをとったのは、『キャラメル』(2007)で監督・脚本・主演の一人三役を果たし、カンヌ国際映画祭の初上映で話題をよび多くの映画賞を受賞したナディーン・ラバキー監督。女優としても活躍しており、5月14日より開催される本年度のカンヌ国際映画祭ある視点部門の審査員長を務めることが決定している。
本作ではリサーチ期間に3年を費やし、主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、似た境遇にある素人を集めた。感情を「ありのまま」に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出するという手法をとった結果、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる“物語の強さ”を観る者の心に深く刻み込むことに成功。今も全世界へと広がり続けている絶賛の波が、ついに日本へも押し寄せる。
本作は昨年度のカンヌ国際映画祭を震わせ、コンペティション部門審査員賞・エキュメニカル審査員賞を受賞。その後もゴールデングローブ賞ならびにアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。
ストーリー
わずか12歳で、裁判を起こしたゼイン。訴えた相手は、自分の両親だ。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らないし、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされている。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、大人たちが作ったさらに過酷な“現実”だった─。
映画『存在のない子供たち』は2019年7月よりシネスイッチ銀座ほか全国で公開!
監督・脚本・出演:ナディーン・ラバキー
出演:ゼイン・アル・ハッジ、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
配給:キノフィルムズ/木下グループ
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