『凪待ち』の完成報告会見が4月23日(火)に都内で行われ、香取慎吾、恒松祐里、吉澤健、リリー・フランキー、白石和彌監督が登壇した。
多くの取材陣が詰めかけた会場に登場した香取は「完成しました。すごくうれしく思います。一人でも多くの方に見てもらいたい映画です」と挨拶。タッグを組んだ白石監督はも「一年前はまだ撮影する場所を探していました。10月に完成した直後から、『早く見てもらいたい』と香取さんもおっしゃっていた。誰も見たことがない香取慎吾さんがいると思います」と本作の完成度に自信を見せた。
今回、これまでのイメージを覆すかのような“どうしようもないろくでなし”と自身を表現する郁男役を演じた香取は「(役柄では)辛かった。優しい言葉をかけられればかけられるほどふがいなさを感じました」と振り返ったものの、撮影現場事態は「つらいと思ったことは一つもないくらいに全部楽しかった」と明かした。その撮影現場では「知らりし監督に全スタッフ、全キャストがついていこうとなっている」と雰囲気の良さを語った。
本作の前にも連ドラの企画で香取にオファーを出したかったという白石監督。その企画自体はなくなってしまったものの、本作で改めて主演としてオファーしたことに「うれしくて仕方がなかった」と語る白石監督。その演技については「リアリティの作り方だったり、色気の感じが素晴らしい存在感だった。またお願いしたい」と再タッグへの期待を持たせた。香取も「一緒にお仕事ができて本当にうれしい。香取慎吾として新しいことをやっているというより、好きな部分をやっとできたというほうが強い」と本作への出演を語った。
香取は本作の出演に「基本的に事前の準備は一切しない」と明かし、「その時の僕が自分にできる一番をするしかないと思っている」と語り、さらにアクションシーンでは「血だらけでした。全然大丈夫です」と本気で挑んだことを明かしたが、白石監督は香取が事前にケガをしないようにケアをしていたことを明かしつつ「それでもケガしていたということで、心がズキッと・・・」と苦笑する場面もあった。
また、恒松は「私の中で香取さんはスターな存在だった」と共演を喜び、「現場での香取さんは優しくてお兄ちゃん的な存在」と絶賛し、これに香取は「もっと言ってください」と返し、会場の笑いを誘った。吉澤も「香取さんはとてもナチュラルでいい」、リリーは改めて香取慎吾のすごさを目の当たりにした」と大絶賛した。
6月に公開される本作について、香取は「ずっとこの映画の公開を待っていました。再生しなければいけなくなった人間の姿がたくさん詰まった映画です。いつでも、だれでも、みんなが前向きになれることはないと思う。でも生きてる限りなんとか前を向いていないといけない。そんな男の姿を見て、少しでも前に進んでみようと思ってくれる人がいたらいいなと思います」、白石監督は「分からないタイミングで人生から転げ落ちてしまうことが多々あると思います。やり直せる可能性は同じくらい持っていると思います。いつでも人生やり直せるとか、前に向いて歩いていこうとか、いろいろなことを感じていただける映画になっていると思います」と本作をアピールした。
本作は、『孤狼の血』や『彼女がその名を知らない鳥たち』など多数の話題作を世に送り出し、現在、日本映画界の期待を最も集める監督・白石和彌が、待望していた香取慎吾と初タッグを組むオリジナル脚本作品。香取慎吾が演じるのは、パートナーの女性とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻市で再出発しようとする男・郁男。平穏に見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―。人生につまずき落ちぶれた男の再生の物語、誰も見たことない香取慎吾がここにある。香取演じる郁男のパートナーの女性の娘・美波役を恒松祐里が演じる。
【取材・写真・文/編集部】
映画『凪待ち』は2019年6月よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開!
監督:白石和彌
出演:香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
配給:キノフィルムズ
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