過酷な現実を懸命に生きるゼインの姿が胸を打つ―『存在のない子供たち』のナディーン・ラバキー監督が7月に初来日することが決定した。
両親を訴えたい。こんな世の中に僕を産んだから―。少年ゼインは自分の誕生日を知らない。中東の貧困、移民などの社会問題を描き、世界を揺るがした衝撃作。目をそらしたくなる貧困の生々しさの中で、必死に生きようとする彼らの強いまなざしやその歩みに胸を打たれずにはいられない。断ち切ることも抜け出すこともできず巻き込まれるしかなかったちいさな存在が起こすセンセーショナルな展開に感情を揺さぶられ、いまできることは何かと深く自身に問わずにはいられない衝撃作となっている。
本作のメガホンをとったのは、『キャラメル』(2007)で監督・脚本・主演の一人三役を果たし、カンヌ国際映画祭の初上映で話題をよび多くの映画賞を受賞したナディーン・ラバキー監督。女優としても活躍しており、5月14日より開催されたカンヌ国際映画祭ある視点部門の審査員長を務めた。
そのナディーン・ラバキー監督が7月上旬に来日することが決定した。2008年に開催された第21回東京国際映画祭での『キャラメル』の上映から11年越しの念願の来日に期待が高まる。初来日に際し、「この映画は12才の少年ゼインが体験する旅を描いています。この映画を通して少しでも現在の状況を皆に知ってもらいたい。たとえ何かを変えることが出来なくても話し合いや考えるきっかけになるはず。私は映画の力を信じています。日本に行くのを楽しみにしています。」とコメントを寄せている。
苛烈なまでの中東の貧困と移民の問題に、一歩もひるむことなく果敢に挑んだ監督は、レバノンで生まれ育ったナディーン・ラバキー。監督・脚本・主演を務めたデビュー作『キャラメル』がいきなりカンヌ国際映画祭の監督週間で上映された逸材だ。開催中のカンヌ国際映画祭ある視点部門の審査員長にも就任し、今やその輝きはとどまることを知らない。リサーチ期間に3年を費やし、監督が目撃し経験したことを盛り込んでフィクションに仕上げた。主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、演じる役柄によく似た境遇にある素人を集めた。感情を「ありのまま」に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出するという手法をとった結果、リアリティを突き詰めながらも、ドキュメンタリーとは異なる“物語の強さ”を観る者の心に深く刻み込む。
また、4月に中国で公開された本作は異例の大ヒット。ダークホース的な存在として興収を伸ばし、口コミサイトでも「2019年のベスト作品」と評価されている。このように今も全世界へと広がり続けている絶賛の波が、ついに日本へも押し寄せる。
30秒特別予告編
映画『存在のない子供たち』は2019年7月よりシネスイッチ銀座ほか全国で公開!
監督・脚本・出演:ナディーン・ラバキー
出演:ゼイン・アル・ハッジ、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2018MoozFilms