埼玉県川口市で開催中のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019において、7月17日(水)に『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』が上映され、トークイベントに主演・椎名桔平、三池崇史監督、プロデューサーの土川勉が登壇した。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019では、「トップランナーたちの原点」と題し、ジョージ・ルーカス監督、クリント・イーストウッド監督、スティーヴン・ソダーバーグ監督、三池崇史監督といった世界的で高く評価される大ヒットメーカーであり、映画史に名を刻む4人の巨匠監督の才気溢れる貴重なデビュー作を特集上映。
今回上映された『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』は、1995年の公開当時、東京では新宿シネパトスでわずか2週間のみ公開され、その後も現在に至るまでスクリーンで上映されたことのほとんどない三池崇史監督の幻の劇場用長編デビュー作。上映後のトークイベントでは、今年の本映画祭国際コンペティションで審査委員長を務める三池崇史監督と、椎名桔平、そして本作のプロデューサーであり、現在は本映画祭ディレクターを務める土川勉が本作の制作秘話等を語った。
今回、24年前の長編監督デビュー作を引っ提げてのイベントとなった三池監督だが、「今と変わらないなと(笑)」と明かしつつも、「最新作も新宿が舞台だけど、同じ街だけど気配が変わっちゃった」と少し残念そうな表情を浮かべた。
三池監督と言えばその描写に注目が集まることもあるが、本作もバイオレンスな描写があり、「当時、新宿ではさまざまなアンダーグラウンドな人たちが暴れていたんですけど、そういうことを知らないで生きているとファンタジーですよね。今はヤクザものがファンタジーになっている。この当時はまだ気配があった」と振り返り、また「撮ったら逃げろみたいな。皇居前のロケも勝手にやってます。ゲリラで」と明かした。また、主演の椎名に対して、三池監督は「今は大人になりましたね」とコメントし、椎名は「24年経ちましたから(笑)」と答え、会場は笑いに包まれた。
その椎名は、イベントの前日に久しぶりに本作のDVDを鑑賞したといい、「セリフを覚えていたりするんです。台湾に行った時の思いとか思い出して、一人酒がおいしかったです(笑)」と懐かしんでいた。その台湾ロケについては、24年前の当時は“危ない雰囲気もあった”というが、今年に入ってからそのロケ以来となる台湾を訪れた椎名は「新宿が変わったように、台北もきれいになった。(映画ロケでの)“ああいう街”だと思っていったからさみしい」と振り返った。
また、椎名は「この頃の時代の持つ良さはありますよね。今は映画も奔放にできないものを感じています。Netflixとか外国の会社の製作でやっていると本当にリミットなくやれちゃう。役者が演じるということでは自由な感じ。日本の映画がその影響を受けて、もっと自由な方向性に向かうとすれば、この頃の自由さのものが土台になる。そうやって時代と映画は変わっていくと思います。その時にまた三池監督とご一緒したいと思います」とコメント。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、デジタルシネマにフォーカスを当て、国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の2部門3カテゴリーのコンペティション上映を中心に開催。これまで、『孤狼の血』『凪待ち』の白石和彌監督、『長いお別れ』の中野量太監督、『ピンカートンに会いにいく』の坂下雄一郎監督、昨年の日本映画界最大の話題作『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、今年3月に公開されて話題を呼んだ『岬の兄妹』の片山信三監督など、今や日本映画界のトップランナーに飛躍した監督や、新作を心待ちにされる監督たちが多数受賞を果たしており、新たな才能を発掘する“若手映像クリエイターの登竜門”として成長してきた。
【写真・文/編集部】
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019は2019年7月13日(土)~21日(日)にSKIPシティ 映像ホール(埼玉県川口市)ほかにて開催!