『アド・アストラ』の記者会見が9月12日（木）に東京・日本科学未来館で行われ、ブラッド・ピット、毛利衛、山崎直子が登壇した。

『ウォー・マシーン：戦争は話術だ！』のプロモーションでの来日以来、約2年4か月ぶり、12度目の来日となったブラッド・ピット。本作でのプロモーションとしては、アジアで唯一日本への訪問。今回の記者会見は、映画の内容にちなんで日本科学未来館で行われ、同館の館長で宇宙飛行士の毛利衛、一般社団法人Space Port Japan 代表理事で宇宙飛行士の山崎直子が登壇した。

日本化学未来館3階のジオコスモスを背景とした記者会見のステージを「ここ最高の記者会見の場所ですね」と大絶賛したピット。今回日本でやりたいことを聞かれると、「東京を出て、田舎に行ってみたい。鯉を育てているところを見たい」と日本愛を語り、「鯉が大好き！」と笑いを誘った。

映画冒頭の宇宙のリアリティさやスケールを表現するにあたって製作側としてどのような工夫をしたのかという質問に対し、「今回はあまりCGに頼らずできるだけ古いやり方で実際に撮りたい。レンズの中でいかにリアリティをだして撮るか、アナログとCGをミックスした撮影方法で実際に体感できる真実味のあるものになった」と熱く語った。

身近なテーマを宇宙を舞台にして描きたかった理由を聞かれると、「人の謎というものの謎を象徴しているのが宇宙だ。人生の中で全てがうまくいかず自分の存在価値が見つけられなくなっていて、銀河系の一番遠いところまで行って自分と対面しなければいけない。今まで抱えてきた喪失感や後悔、自分への疑念、そういうものを全て押し殺してきたが、ここでやっと対面しなくてはいけない。映画の魅力は人間の持ついろいろな葛藤にスポットを当てることができるもの。人間のいろいろな側面を映し出す、それが映画の持つ本当の力であり、だからこそ惹かれるのです」と話した。

スペシャルゲストとして、宇宙飛行士であり日本科学未来館の館長の毛利衛と同じく宇宙飛行士の山崎直子が登場すると、ピットは「本物ですよ！」と興奮した様子を見せた。ゲストの2人は映画を実際に宇宙飛行士という観点から本作品を観た感想を聞かれると、毛利は「92年のこの日（9月12日）に飛んだのですが、そんな日にブラッド・ピットさんが来てくれてとても嬉しいです。一番胸を打たれたのは、彼が父親と息子として、それから自分の一番愛する人、そしてチームワーク、それらを演じる表情が非常に繊細で本物以上でやはりすごい俳優なんだな、と思いました」と語った。

また、山崎は「とにかく圧倒的な美しさと壮大さ、これはブラッド・ピットさんをはじめ、（監督の）ジェームズ・グレイさんやいろいろなチームの方が細部に魂を込めた賜物だと思います。そして宇宙飛行士の立場から言うと、実際に宇宙へ行く時にやはり子供を残していかなければいけなかった立場、家族に心配をかけてきた立場から言うと、実はこの映画は心をとてもえぐられる映画でした。だからこそとても深いものだと思います。ほかの人と関わることで自分を知る、そんな自分を再構築していく映画だと思います。ブラッドピットさんが今度は実際に宇宙を旅する日を見てみたいと思います」と話した。ピットは本物の宇宙飛行士であるゲストの2人を目の前にして質問をするなどとても興奮した様子だった。

本作は、世界的人気俳優ブラッド・ピット演じる主人公ロイ・マグブライドが、宇宙の彼方で消息を絶った父と、その謎の“答え”を探すために宇宙へと旅立つ、衝撃の“救出”ミッションを描くエンターテインメント大作。愛する者を地球に残し、微かな父の情報を辿りながら、広大な宇宙へと旅立つ先にロイが見た真実とは？地球から43億キロ離れた太陽系の彼方で消息を絶った父はなぜ生きていたのか＿そして、なぜ危険な実験を抱えたまま彼は姿を消したのか？―父の謎を追い、宇宙の彼方でロイ・マグブライドが見たものとは？隠された秘密が今、明らかになる―。

【写真・文／市原唯衣】

映画『アド・アストラ』は2019年9月20日（金）より全国で公開！
監督：ジェームズ・グレイ
出演：ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランド
配給：20世紀フォックス映画
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation