周防正行監督5年ぶりの最新作『カツベン!』のエンディング曲が発表された。
今からおよそ100年前、「映画(活動写真)」がまだサイレントでモノクロだった頃、日本では楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語をつくりあげ、観客たちを映画の世界に誘い、そして、熱狂させる【活動弁士】、通称“活弁”(カツベン)が大活躍した。本作は、活動弁士を夢見る青年が、とある小さな町の映画館に流れついたことからすべてが始まる【アクション】×【恋】×【笑い】の要素を織り交ぜたノンストップエンターテインメント。主演は成田凌。ヒロインには黒島結菜。さらに永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊と超実力派俳優が脇を固める。また、竹中直人、渡辺えり、小日向文世をはじめとする周防作品おなじみのキャストも出演する。
今回、周防監督5年ぶりの最新作にさらなる華を添えるのは、ロックバンドUNICORNのメンバーとしても、第一線で活躍し続けている奥田民生。彼が歌うのは、大正7年に発表され、「ジョージア行進曲」のメロディに歌詞をつけ、「パイノパイノパイ」というコミカルな歌詞で大流行し、ドリフターズやなぎら健壱など多くの替え歌も生まれ、長年歌い続けられてきた「東京節」を、脚本の片島章三が『カツベン!』用に歌詞を書きかえた、その名も「カツベン節」。
映画愛に溢れた本作にふさわしくアレンジされたカツベン節には、映画黎明期のスターであり、“めだまの松ちゃん”の愛称でも知られる尾上松乃助や、「怪盗ジゴマ」や、「椿姫」、「雄呂血」(おろち)や「不如婦」(ほととぎす)など、歴代の名作が登場。さらに一世を風靡した時代を代表する活動弁士・駒田好洋が活弁の際に口癖のように言っていた「頗る非常」という説明や、生駒雷遊の「ああ、春や春、春南方のローマンス」でも知られる名調子が歌詞にちりばめられており、まさに映画愛に溢れた曲であり、映画『カツベン!』のドタバタ群像劇を締めくくるに相応しい曲になっている。
映画のクランクイン前から、音楽監督の周防義和からの提案で「東京節」を映画の中で使おうと構想していた周防監督が自身も好きな奥田民生へオファー。レコーディングでは熱の入った歌声を披露した奥田により、監督が思い描く“現代にも通じる味わい”を見事に表現した歌に生まれ変わった。
奥田民生 コメント
「カツベン!」を観て、作品から昔の人の体力と気力のすごさを感じました。「東京節」というものが子供の頃よりさらに前の流行り歌みたいなことは、ほのかに覚えています。当時というのは今より自由な気がします。
子供の頃、大人たちが歌っていた感じというか、ムードを思い出してやりました。自分が昭和の生まれなので、この歌がもっていた心は分かると思います。
周防正行(監督)コメント
「東京節」という、大正時代の流行歌がもつ楽しい雰囲気と時代感を活かして、この映画の音楽を作れないか。いつも僕の映画の音楽を担当していくれている音楽監督の周防義和さんのアイディアからエンディング曲はスタートしました。それならあの東京節を、この映画にふさわしい詩にしようということで、今度は脚本家の片島さんに作詞をお願いして見事「カツベン節」が完成したんです。
もととなった東京節がもつ時代感を現代にも通じる味わいに変える、そういう歌手は誰かを考えたときに僕の好きな奥田民生さんが頭に浮かびました。奥田さんとお仕事するのは初めてでしたが、楽曲の狙い、映画の狙いを見事に表現してくれて、この楽曲が持つ楽しさを活かし味わい深いものにしてくれました。現代に蘇る不思議な味わいを持つ歌となった「カツベン節」のおかげで、映画のクライマックスシーンをイメージすることができました。
映画『カツベン!』は2019年12月13日(金)より全国で公開!
監督:周防正行
出演:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊
©2019 「カツベン!」製作委員会