『真実』がスペインで開催中の第67回サン・セバスティアン国際映画祭で9月22日[現地時間]に上映され、舞台挨拶に是枝裕和監督、ジュリエット・ビノシュが登壇した。
9月20日(金)から28日(土)にスペイン北東部バスク地方にある港町サン・セバスティアンにて開催されている第67回サン・セバスティアン国際映画祭。今回、本作が同映画祭のパールズ部門に出品され、公式上映前にレッドカーペットイベントと舞台挨拶が行われた。
サン・セバスティアン国際映画祭では、昨年出品された『万引き家族』において、アジア人初の快挙となる生涯功労賞に当たるドノスティア賞を授与された是枝監督。今年は最新作の『真実』が、世界の映画祭を賑わせ話題となった、その年を代表する作品を上映するパールズ部門へ出品された。
会場前のレッドカーペットでは、ジュリエット・ビノシュはクロエのエレガントなドレスを身にまとって優雅に登場。是枝監督はアルマーニのタキシードとえんじ色の蝶ネクタイ姿。2人揃って歩きながら、集まったファンたちのサインや写真撮影のリクエストに応え、到着した公式上映会場Teatro Victoria Eugeniaの入口で実施されたフォトセッションには、地元スペインをはじめ各国からのマスコミ陣が大勢押し寄せ、「コレエダ!」「ジュリエット!」のコールとともにフラッシュの嵐が巻き起こり、監督とビノシュはマスコミ陣の歓声に笑顔で応えた。
上映と舞台挨拶が行われる劇場は900人もの観客で超満員となり、是枝監督がビノシュとともに舞台上に登壇すると、映画祭に戻った監督を歓迎するかのように大きな拍手が会場を包み込んだ。是枝監督は「こうしてまた新作を携えて、大好きなこの映画祭に帰ってくることができて、本当に嬉しく思っております。毎年、ここに来るために、がんばって映画を作っています」と挨拶し、会場は笑いが起きると同時に、さらなる温かい拍手が寄せられた。
続けて是枝監督は「この『真実』という映画は、僕が初めて日本の外へ出て、日本語ではない言語で、スタッフとキャストと一緒に作った作品です。去年の秋にパリで撮りました。映画の中に何組もの母と娘が出てきます。その母と娘の関係を重ねあわせながら、映画の最後でちょっとだけ気持ちが軽やかに、温かくなるような、僕にしては珍しい作品になったんじゃないかなと思います。終わった後に劇場を出て、少し遠回りして、歩いて自宅に帰りたくような、そんな作品だと思います」とコメント。
ビノシュは「ママはどこ?ママはどこ?(笑)」と、母役を演じたカトリーヌ・ドヌーヴが居ないことへの冗談からスピーチを始め、「カトリーヌ・ドヌーヴと一緒に映画を作ることができ、非常に光栄でした。今夜は残念ながら彼女の姿はありませんが、彼女はいつも私たちの心の中にいます。そして、情熱と温かさと知性を持ち合わせた、素晴らしい是枝監督と共に仕事ができるという素敵な機会に恵まれましたし、さらに、様々な役者たちともその現場を共有することができました。12年ぐらい前から、映画祭などで見かけるたびに監督を追いかけてきて、ようやくこの作品の撮影に至り、夢が叶いました。またの機会があるかもしれませんが、まずは監督は、少し大変なこともあったであろうパリを一旦離れて(笑)、日本に帰ってバカンスをとらなくてはいけませんね」と、是枝監督との仕事を振り返った。
全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる―。昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督最新作にして初の国際共同製作映画。世界トップレベルの俳優陣が集結した本作は、全編フランスにて撮影。主演はカトリーヌ・ドヌーヴ。彼女の娘役にジュリエット・ビノシュ、娘婿役にイーサン・ホークら錚々たるキャスト陣を迎え、母と娘の間に隠された、ある「真実」を巡って物語が展開する。
映画『真実』は2019年10月11日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開!
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ
配給:ギャガ
Photo L. Champoussin © 3B-分福-Mi Movies-France 3 Cinéma