第32東京国際映画祭「コンペティション」部門上映作品『喜劇 愛妻物語』の舞台挨拶が10月29日(火)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、足立紳監督、濱田岳、水川あさみが登壇した。
世界115の国と地域から応募された1804本の長編映画の中から、厳正な予備審査を経た14本の作品を上映する「コンペティション」部門。『百円の恋』で数々の映画賞を受賞した足立紳が自身初の自伝的小説「喜劇 愛妻物語」を原作に、自身による脚本・監督で映画化を果たした作品。売れない脚本家と、夫に悪態をつき続ける恐妻が繰り広げる夫婦賛歌。
始めの挨拶で濱田岳は、「子どもの頃からこの俳優業をやっているんですけれど、大きな映画祭にでるのは初めてです。初めて大きな映画祭に出る役が、豪太(役名)であることを本当に残念に思います」と笑いながら語った。
足立監督自身の家庭がモデルとなった本作品。自分の夫婦関係が映画になると思ったのはなぜかと言う質問に対し、足立監督は「脚本家仲間と会った時に、妻の話をよくしていたら、その話をそのまま書けばいいと思うとよく言われていて、実際に書いてみたら乗ってくれるプロデューサーがいてこうして映画になりました」と答えた。
また水川あさみに対して、相当強烈な奥さんであったが役作りの上で参考にしたものはあったかという質問に、水川は「現場に入って、ヘラヘラする濱田くんを見てると、自然と罵声を浴びせたくなりました(笑)」と笑って答えた。
家族感、夫婦感を出すための秘訣はあるかと言う質問に足立監督は、特別なことはしていないが、クランクイン前に実際に撮影で使われる監督の自宅で本読みを行ったと明かした。これに対し濱田岳は、僕にとっては、家庭の雰囲気がわかってとてもありがたかったと語った。
それぞれ罵声を浴びせられる役、罵声を浴びせる役をやってみてどうだったか、良い夫婦関係とはどういうものだと思うか、という質問に、濱田岳は「役であるというのは理解していても、毎日毎日罵倒されるというのはなかなか辛いものがあるんですけど、だんだん慣れてきて面白くなってくるんです。自分の自己防衛本能に感心しました」と笑った。また、良い夫婦関係について水川あさみは、「夫婦というのは一番身近にいる他人で、その人と人生を共にするという、すごく奇妙で面白いことかなと思います。それぞれの夫婦の形が本当に素晴らしい個性で、いろいろなあり方があって、それが素敵なことだというのが(この映画で)伝わると嬉しいなと思います」と締めくくった。
【写真・文/北村優雅】
映画『喜劇 愛妻物語』
監督:足立紳
出演:濱田岳、水川あさみ、新津ちせ
配給:バンダイナムコアーツ/キューテック
©2020『喜劇 愛妻物語』製作委員会
「第32回東京国際映画祭」は2019年10月28日(月)~11月5日(火)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほかで開催!
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