第32東京国際映画祭「特別招待作品」部門上映作品『ひとよ』のQ&Aが10月30日(水)にEXシアター六本木で行われ、白石和彌監督が登壇した。
日本公開前の最新作をプレミア上映する、大作や話題作が揃う「特別招待作品」部門。どしゃ降りの雨降る夜、稲村家の母・こはるは、愛した夫を殺めた。それが最愛の子どもたち三兄弟の幸せと信じて。15年後、皆が願った将来とは違ってしまった今、再会を果たした彼らがたどりつく先は――。
作品を作った経緯について問われると白石監督は「KAKUTAという劇団の舞台で“ひとよ”は見ていなかったんですけど。長谷川プロデューサーがこの舞台を観て、魂を撃ち抜かれて。とにかく白石さんとこれを作りたい・・・と声をかけてくれたのがスタートです」と語り、続けて「彼(長谷川プロデューサー)もなぜこの作品を映画化したかったのか、なぜ感動したのかが分かっていなかったんですけど。僕が心理カウンセラーになっていろいろ紐解いてあげたら、彼の家庭も拗れていたと発覚しました(笑)」と笑いを誘い「僕の家庭も普通の家庭ではなくて、そのへんが共鳴するんだね」と共通認識があったことを明かした。
本作は佐藤健演じる稲村雄二(次男)の視点で進んでいくことについては「原作では母親視点の家族の話なんですけど、主役を次男にしたほうが家族の歪みとか物語に入りやすいだろうということと、この物語を観ていただく間口が広がるだろうということです」と明かした。
キャストに田中裕子を起用した経緯を問われると「この話をやるときに、直感的にお母さんは田中裕子さんに演じてもらいたいというのが僕の最初の条件というかこの映画に必要な方だなというのがありました」と明かし「冒頭で母親が父親を殺すというショッキングなシーンがあって、その説得力を持たせたいと言うのがまず1つで。若きし頃から演じてきた情念の強い女性をずっと演じてきていて、それがこの映画にとって助けになってくれるだろうと思った」という強い気持ちを明かした。
白石監督は今回のキャスティングで「この人がダメだからこの人にいこう。というのは今回無かった」と話しているが、人選について「まずは(佐藤)健くんと仕事がしてみたいと思っていたし、それから兄弟どうしようか・・・という風に選んできました」と語り「そこから僕の縛りはお芝居が上手な人を入れようというのが基本的なテーマでした」と明かした。
【写真・文/蔭山勝也】
映画『ひとよ』
監督:白石和彌
出演:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優
©2019「ひとよ」製作委員会
「第32回東京国際映画祭」は2019年10月28日(月)~11月5日(火)に六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほかで開催!
©2019 TIFF